鹿児島の野良猫事情 | 【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

鹿児島で動物病院を経営しつつ、飼い主さんがペットに1つでも多くできることを提案できる場として、ペット関連のイベントや講演をしています。
http://www.ruoona.com/
http://www.alohapet.info/

あと1ヶ月もすると、にゃんフェスが開かれます。

にゃんフェス開催の目的の一つに、さくらねこの普及があります。

さくらねこってご存知でしょうか??このお話はまた今度するとして・・・

今日は、にゃんフェスの集まりがあり、出店するので、参加させていただきました

アラフォー獣医師 浜崎菜央です。


{8D1A4D20-FCF3-430E-A376-73E797D2F3E1:01}
(わけあって、ほとんどすっぴん笑



どこの県でも問題になっていると思うのですが、

鹿児島も野良猫の問題が後を絶ちません。
(鹿児島は異常かもしれません・・・


前に殺処分のことを書きましたが、

犬と猫で比較すると、

殺処分の数は全く桁が違います。




ここで一つお伝えしたいことがあるのですが、


鹿児島市の動物管理事務所では、

殺処分を行うことはほとんどありません。




そして、

鹿児島市の動物管理事務所では、

獣医師会と一緒になって、犬猫の治療をできる範囲内で行っています。


保護されて待機時間を過ぎた子たちには駆虫やノミダニ予防は行っていますし、

譲渡会などに備えて、ワクチン接種も行っています。




このことを取り上げていないメディアの存在もあるのでしょうが、

勘違いされている人たちや、

その人たちからの情報が間違って流れているケースが多く、

鹿児島市では殺処分が多く行われいる

と言われることが多々あります。




じゃあ殺処分してないんだとしたら、

殺処分数って表示されているあれは何?





犬に関しては、

病気を負っていたり、老犬だったりで亡くなるケース

がほとんど。

これは、殺処分数のどれくらいが病気や老衰などで亡くなっているのか把握するために

獣医師会が中に入り調査をした結果です。


この場合は、殺処分ではなく、亡くなった遺体を焼却という形なのです。


そして・・・

管理事務所内で長期にわたって経過を見ていても、なかなか修正できないほどの問題行動があるケース

1年以上管理事務所にいて、何度か譲渡会に参加するも引き取られないケース

が一部あります。

これに関しては、仕方がないところもありますが、

1年以上管理事務所にいて、性格などにも問題がないのにもらわれない子に関しては、

譲渡会の回数を増やすなどすることで改善はあるかもしれないですよね。


{01494E4E-2178-4F9E-B3B5-92603A8DFF17:01}
(動物愛護フェスティバルのときの譲渡会の様子)



猫に関しては、

大半が目が開いていないような子猫の存在が多くあります。


野良猫が親子で連れられてきたり・・・

子猫だけ連れてこられたり・・・




親猫と一緒の場合は、一緒に部屋にいれてあげていれば、

母乳がもらえ、ある程度育つこともあります。


ただ中には、親子ともにひどい風邪をひいていて、衰弱していて、

治療の甲斐なく、亡くなるケースも。


また、家や家の近所で生まれたから・・・と子猫だけ連れてこられるケースに関しては

『なかなか数時間おきにミルクをあげて育てる』

というところまで手が回らないのが現状で、

栄養失調や衰弱などにより亡くなるケースが多いのです。


猫の殺処分数が多い原因は、ここにあるのです。

これも犬同様、殺処分ではなく、自然に亡くなった子たちの焼却ということです。




新潟だったかな?

ミルクをあげる一般市民のボランティアさんを募り、

離乳する時期まで預けて、その後里親探しをする

という取り組みをされているところもありますよね。



{3A8EB8B5-6151-4449-9D7F-5FE1FC2BE380:01}
(ミルクを飲んでいる姿はたまらんっ)



この場合は、動物管理事務所というより、市や県が主体となって市民に提案して募るということが必要だと思っています。



成猫に関しても、

保護された時点で病気を負っていたり、衰弱している子たちもいるので、

治療できる子もいればできない子もいて、

助けられない命も多くあるのが現状。


実際に、殺処分をするケースって本当に少ないし、

動物管理事務所の焼却の施設が稼働するのは、

殺処分ではなく、自然と亡くなった子たちの火葬がほとんどなのです。



とにかく、日本全体で言えることは、

野良猫の存在が多く、なかなか減らない

ということ。



保護しても保護しても

里親探しをしても

管理事務所で保護される数がなかなか減らないのです。



その理由の一番は、不妊手術の不徹底。



私はご飯をあげているだけで、飼っているわけではないから、手術はしない。

手術をするのにお金がかかるから、うちの子ではないのでしたくない。



このパターンが多いんです。


でも、実際は、ご飯をあげることで、ご飯にありつけて、栄養を蓄え、

妊娠・出生率をあげてしまうことになっているんです。


結果、野良猫の数は一層増え、餌やりさんたちは、ご飯代がもっとかかることになってしまう。



私だって関係ない野良猫に、かわいそうだからと思ってご飯をあげているだけなのに

ご飯代だってバカにならないのよ?

と言われる人もいらっしゃいますが、


あげると決めたのは自分。

あげるのであれば、飼っているのも同然。

やるべきことはきちんとやっていただきたいし、ご飯をあげることで寿命が延びること、

出生率が上がって野良猫の繁殖に加担していることを理解していただきたい。



こう言っている私も、猫は大好きです。
(キャットケアレッスンを猫カフェで毎月するのが幸せなひとときと言ってるくらいですから苦笑


可哀想に・・・と思うこともありますが、

みんな助けていたらキリがないんです。


自分の許容量を超えないように・・・いつも心がけています。

好きだからこそ、心がけるんです。
(許容量を超えることの大変さは以前書きましたこれ→何でも引き受けることが愛情ではない。許容量を超えたときに、猫屋敷犬屋敷になる。



心を鬼にして、

たくましく生きていくのだよ

とその場を離れることもあるんです。



飼い猫で外に出す子でも、不妊手術をしていないおうちがあるのも大きく関わっています。


家で飼っている子は男の子だから、手術しなくても大丈夫

と言って、去勢手術をせず、外に出す人もいるんです。


そうすることで、

その子は野良猫を妊娠させ、どんどん野良猫を増やしてしまうんです。



家には本人しか帰ってこないから、何にも問題ないという・・・



自分さえよければ・・・という考えはなくしていただいて、

きちんと不妊手術をしてもらいたいなと思います。




鹿児島では、地域猫活動というものがあります。


これについても、何度かお伝えしているのですが、一般の方の認知度が低く、

もっともっと広まって、必要な人、必要なところで活用してほしいと願っています。


{D0F9F348-3E91-40A3-8AF8-FEFAFA85F9FA:01}
(あたいも、さくらねこだよ)



地域猫活動とは、

野良猫を3名以上の地域の方が責任もって管理するという約束のもと、

獣医師会と市が避妊去勢手術を全額負担するという活動のこと。



それとは別に、

観光地等に生息する猫の不妊手術活動といって、

住宅街以外の観光地(城山など)に生息する野良猫を捕獲し、無償で避妊去勢手術をするという活動があります。

この活動があったから、

城山展望台や県立図書館周辺、甲突川沿いなどの野良猫が減少してきているのです。


これについても、公にしていないことで、

市民の方々からは、

なぜ猫が減ったのだ?

という疑問だけしかあがらないわけです。


きちんと市や獣医師会が考えて活動しているからこそ、

形になってきていることでもあるのです。


ただこの活動は、市や獣医師会、保護団体だけが頑張ることではなく、

市民全体が考えて向き合っていくべきことだと思っています。


もっと子猫の救護を・・・

と言われるのであれば、

ミルクボランティアとして動いてくれる人を募ることが先だと思っています。


少しずつでも、さくらねこが広まり、

そして、不幸な野良猫の数が減るようになるといいなと願っています。

不幸な野良猫がいる理由は、人間の都合で捨てたことが始まりなのですから。



関連記事はこちら

これ↓

命をいただいてわたしたちは生きている


何でも引き受けることが愛情ではない。許容量を超えたときに、猫屋敷犬屋敷になる。

殺処分ゼロって一体?譲渡率に執着する理由は?