寝たきりになったら、おしまい?【安楽死という選択】 | 【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

鹿児島で動物病院を経営しつつ、飼い主さんがペットに1つでも多くできることを提案できる場として、ペット関連のイベントや講演をしています。
http://www.ruoona.com/
http://www.alohapet.info/

年末からたくさんのドラマがあり、

いろんなことを考えさせられました

アラフォー獣医師 浜崎菜央です。


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家族ごとにペットへの向き合い方は違うもの。


ペットと家族との関係もそれぞれだし、

ペットへの気持ちや時間のかけ方もそれぞれ。


それぞれのドラマがあっていいと思うし、

その家庭ごとに合わせてあげるのが獣医師の役割でもあると思っています。



時に飼い主さんが間違っている道を選んだとしても、

きちんと起こりうることをお伝えして、飼い主さんがそれも理解した上で選ぶのであれば、

それはそれで応援しなければならないと思っています。



なんでだろう

こうしたほうがいいのに・・・


と思うこともあるけれど、

それは私の考えであって、その家族の考えではないから、

押し付けないようにしています。



必ず決定権は家族の人。
(このことはシニア犬セミナーでもいつもお伝えしています。)


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(自分である程度病気を見極められるようにシニア犬セミナーではいろんなことをお伝えしています)


決心するために必要な情報や提案はいくらでもします。

けれど、最終的にどうするかを決めるのは、飼い主さんでなければなりません。



飼い主さんは、

動物病院や獣医師に依存しすぎるのではなく、

自立すること

が大事だと思っています。

(これもシニア犬セミナーでお伝えしていること。自立するための知識をお伝えしています。)


それは、どう転んだとしても、後悔しないように・・・

自分で選んだ道であれば、納得できるはずだから。




ある時、

寝たきりの子を抱えた飼い主さんが

たまたまうちの病院にいらっしゃったときのこと。



初めましてだったのですが、

家族みんながわんちゃんのことをとても愛していることがすぐにわかりました。


その後話していくうちに、

寝たきりになった子を一生懸命介護していること

めざせ20歳と頑張っていること

年老いていくことは仕方がないことだけど、受け入れつつ、老化を遅らせたいと願っていること

などが伝わってきて、

私の直感は間違っていなかったのだと感じました。



そんな中、最後に、飼い主さんの口から『安楽死』のお話が出たのです。


私は、

今はお互い苦なく暮らしているのだから、安楽死を考えるタイミングではないのでは?

もしどちらかが苦痛を感じることが出てきたら、その時に考えてみたらいいと思います。

とお伝えしました。





こんなに愛しているのに、

介護に対して苦に思うことなく、むしろ愛情を込めて行っているのに、

「安楽死」という単語がなぜ出てきたんだろうか?



私の中で疑問が湧きました。



でも、それからしばらくして、この理由がわかりました。

実は、行く病院ごとに『安楽死』の提案をされていたのです。



確かに、寝たきりになると、介護の時間が増えてしまいます。

世間一般的に、介護のイメージは大変で永遠で苦痛で・・・

とにかくマイナスのイメージ。
(これは対人でも言えることですよね)



でも、私から言わせてもらえば、

介護は必ずしも苦痛な時間ではなく、

幸せを共有できる時間でもある。



どういうふうに接するかで気持ちも行動も大きく変わってくるものなんです。


マイナスのイメージを勝手に植え付けてしまっているから

負のループを自分で作ってしまっているから

どんどん介護がしんどいものになってしまっていることが多いんです。


介護の向き合い方をしっかりできれば、

苦痛よりもむしろ新しい発見のある時を過ごすことができるのです。
(シニア犬セミナーでお話する中で、介護の心得があるのですが、これが大事なところ)



そして・・・


介護の仕方によっては復活することなんてたくさんある
んです。


大事なことは、正しく介護することビックリマーク



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(何でもしてあげることがいいこととは限りません。わんちゃんが復帰できるようにしてあげることが大事。)



もちろんあれこれトライしていく中で、

介護をすることが苦になることが出てきてしまうこともあります。



わんちゃんの状態だったり、

家族の構成の問題だったり、
(飼い主さんもお年寄りというケースなど)

時間の都合だったり、
(介護する時間が全くとれなかったり・・・)

いろんな理由があって、実現できないこともあります。



そうなったら、『安楽死』のお話も出てくることもあるでしょう。

でも、『安楽死』について、このタイミングかなと感じるときまで、

極力こちらから勧めることはしないようにしています。



それは、ここが日本で、相手が日本人であるから。



海外であれば、『安楽死』という方法はたくさんとられているでしょう。

でも、日本と海外では文化の違いがあります

日本人にとって、『安楽死』というのは、まだまだ抵抗があるもの。


それを懸命に推すことはできないし、

実行したとしても、日本人の心の中では消化できないことが多くあるのです。

これは、昔からの日本人のDNAに組み込まれている部分があるので、

なかなか消化しにくい問題だと思います。


消化できずにいると、次にペットを飼うことはできなくなってしまいます。




でも・・・

飼い主さんが自ら『安楽死』を選択したのであれば、

それはたくさん悩み、たくさん葛藤した末のことだと思うのです。


その場合は、

最終決断を飼い主さんが自ら導いたことを受け止めて、

飼い主さんの気持ちに寄り添うことが大事だと思っています。




介護はしんどいもの

寝たきりで何が楽しいと思う?



そんなふうに言う先生や飼い主さんもいます。



でも・・・


寝たきりになっても、飼い主さんのそばにいることが幸せだと思う子もいます。

寝たきりになっても、飼い主さんの笑顔をみたいと思う子もいます。


そして、


寝たきりの子の面倒をみていても、一緒にいれて幸せだなと思う飼い主さんもいます。

介護が少しくらい大変でも、してあげられることがあることを幸せに思う飼い主さんもいます。




大事なことは、

飼い主さんとシニア犬、シニア猫がどう思っているか?

何を望んでいるか?




介護は必ずしもしんどいものではありません。

寝たきりは必ずしも悲しいことではありません。


連れ添いたいと思っている飼い主さんにとって

もっと一緒にいたいと思っているシニア犬、シニア猫にとって

「介護はしんどいもの。寝たきりで何が楽しいと思う?」

と言うことは、とても酷なことです。



トライする前から、やる気を失う一言はあってはならないこと。



いろんな考えがあっていいと思うし、

それに伴って、いろんな方法があっていいと思うんです。



だから私は、そういうお家に対して、

『安楽死』のお話は最後にして、

それを覚悟できるまでの間は、きちんと向き合う方法をお伝えして、

一緒にできることを模索していくことをしています。