日本人殺害予告のイスラム国、日本政府を非難 | 同じ空の下で ~ To you who do not yet look ~

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まだ見ぬあなたへ。僕らは、同じ空の下にいながらも、それぞれの感じ方で生きている。
「偶然は必然」というように、僕らを直接結びつけるものはなくても、意図しない形で、思いもよらない所で、あなたと私がきっかけひとつで繋がったことに感謝☆




(以下、毎日新聞ニュースより)


シリアやイラクで勢力を拡大するイスラム過激派組織「イスラム国」のメンバーを名乗る男が

日本人男性2人の殺害を警告し、2億ドル(約236億円)の身代金を要求するビデオ映像が20日、

インターネット上に流された。AP通信などが伝えた。


ビデオでは、野外で黒い覆面姿の男が、

オレンジ色のジャンプスーツを着た東洋人らしい男性2人をひざまずかせ、

ナイフをちらつかせながら、2人の命を助けたければ、72時間以内に2億ドルを支払うよう要求。

男性2人には「HARUNA YUKAWA」「KENJI GOTO JOGO」と表示があり、

昨年8月にシリアで行方不明になった湯川遥菜さん(42)と

シリアなどで取材をしていたフリージャーナリスト、後藤健二さんの可能性がある。



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(以下、共同通信ニュースより)


イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」が日本人2人を殺害すると警告するビデオ声明には、

湯川遙菜さんとともに、フリージャーナリストの後藤健二さんとみられる男性の姿が映っている。


後藤さんのホームページによると、後藤さんは宮城県仙台市出身。

番組制作会社を経て平成8年に映像通信会社「インデペンデント・プレス」を設立、

世界の紛争地などで取材を重ねていた。

平成18年の第53回産経児童出版文化賞では

アフリカの内戦を描いた「ダイヤモンドより平和がほしい」でフジテレビ賞を受賞している。



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(以下、毎日新聞ニュースより)


安倍晋三首相は20日午前(日本時間同日午後)、

訪問先のイスラエルで記者会見し、日本人2人の殺害警告を

「人命を盾に取った脅迫は許し難いテロ行為だ」と強く非難するとともに、2人の即時解放を求めた。

首相がエジプトで表明した過激派組織「イスラム国」対策の2億ドル拠出に関しては

「避難民を救うため、食料や医療を提供するための人道支援だ」と述べ、

政府として非軍事分野での支援を今後も継続する考えを示した。


首相は会見後に予定されているパレスチナ自治区訪問の一部日程を変更し、

事態への対応を優先した。会見で身代金要求に応じるかを問われたのに対し、首相は

「人命確保に全力で取り組む。国際社会はテロに屈してはならない」と言及を避けた。

ただ、政府関係者は身代金の支払いが難しいことを示唆している。


首相は会見に先立ち、動画を自身で確認したうえで菅義偉官房長官と電話協議し、

(1)事実確認に全力を尽くす(2)関係各国と協力し、人命第一に対応する--よう指示した。

政府は首相官邸に対策室を、外務省に緊急対策本部をそれぞれ設置。

首相に同行している中山泰秀副外相が現地対策本部長としてヨルダンに入り、

情報収集や連絡調整にあたる。


一方、菅氏は20日の記者会見で、動画がインターネットで公開された直後の午後2時50分ごろに

政府として確認したと説明した。首相の臨時代理を務める麻生太郎副総理兼財務相は

同日の関係閣僚会議で、家族らに2人の確認などを急ぐよう指示した。


◇安倍晋三首相の記者会見(骨子)


・2人の日本人に危害を加えず、直ちに解放するよう強く要求する


・2億ドルは避難民を救うための人道支援。今後も非軍事分野で積極的に支援する

・人命確保に全力で取り組む。国際社会はテロに屈してはならない



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(以下、産経新聞ニュースより)


日本人2人の殺害を警告した過激派「イスラム国」戦闘員とみられるビデオ声明は次の通り。


【日本政府と日本の人々へ】


「日本の首相へ。お前はイスラム国から8500キロ離れているにもかかわらず、

自発的に十字軍に参加した。日本は女性と子供を殺害、

イスラム教徒の家を破壊するための1億ドルを得意げに拠出した。

従って、(後藤健二さんとみられる男性をナイフで指しながら)

この日本国民(の解放)には1億ドルがかかる。

また、イスラム国の拡大を阻止しようとするために、別途1億円を拠出したから、

(湯川遙菜さんとみられる男性を指して)この日本人はさらに1億ドルかかる。


日本の国民へ。お前たちの政府はISと戦うために2億ドルを支払うという最も愚かな決定をした。

お前たちには、2人の日本人を救うため、

政府に2億ドルを支払うという賢明な決断を迫る猶予が72時間ある。

さもなければ、このナイフがお前たちの悪夢となるだろう」


  ◇


中東歴訪中の安倍晋三首相は18日午前(日本時間同日夕)

ヨルダンの首都アンマンでアブドラ国王と会談した際、

イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」対策として

120億円(約1億ドル)の円借款による財政支援を表明した。

殺害予告はこの支援に言及したとみられる。



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(以下、ロイター通信ニュースより)


過激組織「イスラム国」が人質として拘束している日本人2人のビデオ映像を公開し、

72時間以内に身代金を支払わないと殺害すると警告したとされる問題で、

日本政府は事実確認を急ぐと同時に、関係国と協力しながら人質の解放に全力を尽くす方針だ。


<真偽を確認中、関係閣僚会議を開催>


菅義偉官房長官は20日午後の会見で

「イスラム国によって発出されたと見られる動画が19日にネット上で配信された」と指摘。

「邦人とみられる2人の殺害が予告されているが、その真偽について現在確認中だ」とした。


さらに「もし事実なら人命をたてに脅迫することは許しがたく、強い憤りを覚える」と非難。

「日本政府として関係各国と協力しつつ当該邦人の早期解放に最大限の努力を尽くす」と語った。


政府は官邸の危機管理センターに官邸対策室を設置、情報を収集している。

また中東を訪問中の安倍晋三首相は情報収集と人命第一の対応を指示、

パレスチナのアッバス大統領との会談などの公式行事を除き、視察などの日程は取りやめる。


安倍首相に同行している中山泰秀外務副大臣をヨルダンのアンマンに派遣し、

現地での指揮をとらせる考えだ。また20日夕には、官邸で関係閣僚会議も開催した。

安倍首相は訪問中のイスラエルでの会見で「人命第一に政府全体で全力を尽くしていく」と述べた。


<テロには屈しない>


イスラム国が人質殺害を予告した理由について、

安倍首相が今回の中東訪問中にイスラム国対策として

2億ドルの支援を表明したことを挙げていることについて菅官房長官は

「非軍事分野での支援表明だ」と強調。

今後の対応に関しては「テロに屈することなく、

国際社会におけるテロとの戦いに貢献していくというわが国の立場に変わりはない」と語った。


安倍首相も2億ドルの支援は人道的なものだと指摘、

「支援を行う姿勢に変わりはない」と明言した。


政府は、今後、引き続き情報を収集すると同時に関係各国と協力し、対応していく方針。

安倍首相はこの後行われるアッバス大統領との会談などでも、協力を呼びかけていく。



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昨年8月、身柄を拘束されていた湯川氏と、

同10月、シリアで取材中に連絡が途絶えていた後藤氏の続報が、

こうした形で知らされることに、義憤を覚える。


このような場面を、これまで何度も見せられてきた。

過去には、武装組織に日本人が拘束されて、政府が動き、

拘束された日本人に対して、国内世論は、激しい非難を浴びせた。


しかし今回は、「処刑」の予告だ。

莫大な身代金の要求もさることながら、命を奪われるような事態が、

遂に、日本人の身に及ぶことになってしまった。


かつて、石油プランドで働く日本人が、

武装組織の襲撃で、命を落とす事件があったが、

それは「巻き込まれた」ものだった。


この予告は、日本政府に向けられた犯行声明であり、

これまでのものとは勝手が違う。


政府の対応力が問われる問題だが、

相手に日本の主張が正しく伝わるとは思えない。

また、身代金の支払いに応じた場合は、

別の問題に発展してしまう可能性もある。


人命第一に尽くすとは言うが、拘束されて半年近くになる湯川氏の続報が、

ここまでなかったことは、秘密裏に交渉を進めていたからなのか、

まったくそうではなかったのか気になるところだ。


「何故、ここにいるのか」と、イスラム国でさえ困惑した湯川氏は、

仕事と言うよりは死に場所を探しているかのような無謀さを感じたが、
後藤氏は、ジャーナリストとして、イスラム国に近づいたのではないだろうか。

ひょっとしたら、取材を進めるうちに、湯川氏の情報を掴んで、

イスラム国に近づいた可能性も考えられる。


ふたりの解放のために、本当に交渉の余地があるのかわからない。

ただちに解放を求めると言うのは間違いではないが、

欧米のメディアに乗っかって報じられると曲解されるので、

日本が、「イスラム社会回復のために」尽力していることを、

他のイスラム社会に積極的に働きかけ、イスラム圏のメディアから、

積極的に情報を発信してもらうのがいいのではないだろうか。