【誕生日】
「今日は、ママのたんじょうび~!」
「ママいくつになったの」
3歳の息子潤が俺に聞く。
「ママか。28歳だよ」拓也は答えた。
「にじゅうはち?」
「そうだよ。」
「ケーキににじゅうはちほんローソクたてなくちゃ。」
「いーち、にー、さーん・・・」
俺と妻の恵子が出会ったのは4年前。
連れの合コンで隣の席に座ったのが、きっかけだった。
「お幾つですか。」恵子がいきなり質問してきた。
「俺?今年で30、おっさんでしょ。」
「全然見えない。若く見られるでしょ。」
「まあ、バカだから若く見られるのかな。」
「そんなつもりじゃないんです。」恵子は顔を赤くした。
そんな恵子を見て、拓也はおかしかった。
「名前まだ聞いてなかったね。僕は、山本拓也 Aデザイン事務所で
デザインの仕事をしているんだ。デザインていっても文房具とか雑貨の
デザインだけどね。」
「わたしは、田中恵子、年齢は27でもうおばさん。B商事で受付をしてます。」
「B商事て超大手じゃん。そこの受付をしてんの」
「私みたいなキャラがたってないのが、いいみたい。」
そう言えば、化粧も薄いし、メガネをはずして、ちゃんと化粧すれば、結構
いい女かも。
「メガネは、いつもしてんの。」
「いいえ、仕事中はコンタクトで、でも私コンタクト合わなくて、仕事が終わると
メガネに替えるの。メガネ女子ってお嫌いですかぁ」と上目づかいにこちらを見た。
拓也は、恵子に色気を感じて、慌てた。
「い、いやメガネ合ってるよ。デザインもいいし。あっ職業病。」
二人で笑った。気があった。メアドも交換し、その後もメールのやり取りをし、
時々デートもした。いつしか二人は愛し合った。そう出会うべきして出会った。
そのような感覚になった。二人は結婚した。式は、近くの神社でお参りし、
婚姻届を提出するだけの地味なものだった。彼女はすでにお腹に子を宿していた。
二人の生活は、ささやかだけど充実していた。
「来月、臨月だね。」
「そう、もう28になちゃうわよ。」
「今日は恵子の誕生日。ケーキ買ってきたよ。後でたべよ。」
「有難う、28本もロウソク立てると蜂の巣みたいにならないかしら。」
笑いながら恵子は言ったが顔色がひどく悪い。
そういえば、妊娠してから恵子の顔色が悪くなったのを今気付いた。
「顔色悪いぞ。病院行くか。」
「うん。」元気なく恵子は答えた。入院の用意をして病院に向かった。
「すぐ手術をします。」医者は鋭く言った。
暫くして、医者が出てきた。
「お子さんは、男の子です。それより奥さんが危ない。元々子宮の異常があったみたいで
妊娠したことにより悪化したみたいです。出血がひどくて、輸血をしているのですが、
今晩がやまです。」
何も言わずに恵子は、俺とこの子を残して逝った。
なんてことだ。俺はバカだ。もっと早く恵子の異常に気づいていれば。
拓也は悔やんだ。悔やみきれないことに悔やんだ。
「くー、じゅう、じゅうの次はなんていうのパパ―」
拓也は無言だった。
「ま、いいや。にじゅうはちにしとこ。パパ―できたよー」
「パパ―、なんでぼくのたんじょうびのつぎのひが、ママのたんじょうびなの」
(了)
登場人物はフィクションであり、実際とは何ら関係ありません。
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