昨日の夜、なぎと電話で話していて、少し不穏な空気になった。
ちょうど今頃の季節って、世間では「ボーナス」というものが支給されるはず。
でも、私みたいな派遣(っていうかパート)にはそれはない。
なぎは会社員で、高校卒業してからずっと同じ企業で働いてきて、
私には遠慮して多くは語らないけど、社内ではそれなりの立場だと思う。
私にも社員でバリバリ働いて、そこそこの収入もあって、
一人暮らししてた時もあった。
でも、会社が傾いて「解雇」とか、ハード過ぎる勤務から体調を崩して
退職…という憂き目にも合ってきた。
何とか復活したものの以前のように無理はきかず、今の会社は
「リハビリ」と称して働き出して2年半。
時間と休みがきっちりしてるし、自分の身体の事を考えればそれがベストな
選択だと思ってた。
でもね、どんなに仕事が出来るようになっても、パートという立場では
やれる仕事範囲に限界がある。私はもっと上を目指したい。
そう考えてたとこに、今年の2月に同僚の男性社員が「辞める」と言い出した。
直属の上司は、私に「社員でやってみる気はあるか?」と訊いて来た。
今、この会社での社員の指示の出し方、方向性に疑問を抱いていたし、
「自分のスキルアップにつながると思うから、やってみたいと思う。」と答えた。
でも男性社員が本当に辞めるかどうかで、私の社員話も決まるので、
私は直接、彼にどうするつもりかと聞いた。
辞めるなら、私もそれなりに準備があると思ったから。
彼はその質問に、4月末で辞めるとはっきりと言い切った。
私を社員に上げるよう上司に進言したいとも言った。
うちのチームは社員2名、パート2名で構成されている。
2月から社員交代に向けて、色んな準備が始まった。
なのに…彼は4月もあと2週間で終わるという時に、急に
「残留する」と言い出した。
これで、私の社員への道は閉ざされた。
確かに、彼がいれば仕事がスムーズに運ぶ事も理解していたけど…。
でも2ヶ月も準備してきたのに…。
「男に二言はない」は死語かと思った。正直。
なぎはバリバリ働いていて、それは私の自慢でもあったけど、
やっぱり少し、引け目を感じる部分もあった。
私に社員話が持ち上がった時、私がなぎに対して引け目を感じているのを
彼女は知っていたから、とても喜んでくれていた。
私も、会社の規模の違いはあるにせよ、なぎと同じ土俵に立てると思った。
…で、昨晩の話。
会社で休憩中にボーナスとか年金とか色々な話題があったの。
ほんとは、彼が「残る」って言った時、私はがっかりしたし、
ちょうど昔働いていたパン屋の元上司から熱心に誘いを受けてたから
移ろうかと悩んだ。(ちなみにそこには今、日曜だけお手伝いに行ってる)
だけど、それも逃げるみたいで嫌だったし、一つの場所で粘るのも
自分の力になると腹をくくって、パートのまま、あくまで社員のサポートに
徹しようと決心した。私なりの仕事のやり方を見つけようと決めた。
でもやっぱり、ボーナスがどうとかこうとか…
社内でそんな話が出ると、凹む私がいる。
なぎがバリバリやってるから余計かな…。
なぎと私は違うんだ…って彼女に言ってしまった。
なぎは「almoは自分の出来る精一杯の範囲で頑張ってるじゃない」と
言ってくれたけど、「それは安定してるからそんな事が言えるんだ」とか
つい彼女に当たってしまった。
「持ってる人は、持ってない人間の葛藤がわからない」とも。
私には、なぎが桐の箱に入ってる「メロン」で自分が「一山いくら」の
果物みたいに思えて仕方がなかった。
卑屈もここまで来ると最悪だ…。
私が社員になれなかった時、「悔しい」って泣いてくれたのはなぎだったのに。
なぎはいつも言う。
「そんな風に、自分の出来る範囲で精一杯やろうとしてるあなたが好き
なのであって、立場なんか気にした事ないよ。」って。
それは痛いほどわかってたはずなのに。
これが異性間の恋愛なら、私がなぎの「お嫁さん」になる。
それで話がつくのかもしれない。
こんなに葛藤するのは同性だから?
いや、多分、私が自分の「昔はこう出来た」という過去にしがみついてるから。
「自分が彼女を幸せにする」っていう一人よがりな恋愛をしてきたから。
なぎは言った。
「私はalmoと並んで歩いてるつもりなのに、片方が幸せで、
片方が悩んでたら、それはお互いの為に不幸だよ」と。
今日一日、仕事をしていて考えながら、ほんとにそうだと思った。
私には少し足の不自由な母がいる。
その母の事や、自分の今の身体の限界を考えたら、今はまだ
やっぱりここで頑張るしかないんだと思った。
私がなぎを好きだったら、なぎが私の事を好きだったら、
それでいいんだよね?
ステイタスにこだわっているのは私だけ。
なぎは私の内面を好きだと言ってくれているのに、社会的立場に
固執している自分の器の小ささに愕然とする。
私がまだなぎがどんな仕事をしているか知らなかった時、
私もなぎの内面に惹かれたはずなのに。
今夜、電話したら素直に「ごめんね」って言おう。
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