短編小説 | ビックの短編小説

ビックの短編小説

色々な短編小説を執筆していきます!

5分読み切りなので楽しんで下さい!

とあるの街の寂れた雑居ビルの地下で、警察の手をすり抜けて営業を続ける「闇カジノ」があるとの噂が流れた。そこはエリートや成金たちが集い、一晩で数千万が動くという、地下の社交場だ。


​現場に潜入したのは、小柄な体をせわしなく動かすスモール探偵である。彼はタキシードを借りて着込み、カジノの入り口で得意げに声を張り上げた。


​「ふははは! 悪質な違法カジノめ、このスモールがチップの積立よりも速く全貌を暴いて差し上げましょう!」


​1.スモール探偵の踏みとどまり、からの大やらかし


​スモール探偵は、カジノのフロアで「怪しい動き」を見せた男を追いかけ、ルーレット台の下へ潜り込んだ。そこで彼は、何やら複雑な電子回路が仕込まれた「遠隔操作式のルーレット」を発見した。


​彼は回路に手を伸ばしかけて……ピタリと動きを止めた。


​「……いや、待てよ? 前回の事件で、私はガソリンを炙って爆発させ、あわや殉職しかけた。同じ轍は踏まない! 今の私は、ハイテクなメカニズムをハッキングして制圧する、サイバー探偵へと進化したのだ!」


​スモール探偵の立派な(?)成長に、隠れていた警察官たちが「おおっ」と期待を込めた眼差しを送る。


​「このルーレットの回路、私が持参した『高出力EMP(電磁パルス)ジェネレーター』で一気に回路を焼き切り、カジノの機能を完全に停止させて犯人を孤立させます!」


​スモール探偵はドヤ顔で、強力な磁気を放つ巨大な機械のスイッチをオンにした。


​「これで終わりだ! カジノよ、シャットダウンせよ!!」


​バリバリバリッ!!! という爆音と共に青白い火花が散り、ルーレット台が煙を上げた。……が、効果はそれだけではなかった。


​EMPの影響はカジノ全体に及び、店内の照明、換気システム、さらには客たちのスマートウォッチやスマホ、そして隠しカメラのモニターに至るまでがすべて一瞬でショートして火を吹いたのである。


​「うわあああっ!? 暗い! 何も見えないぞ!!」


カジノの客たちは大パニックに陥り、阿鼻叫喚の混乱の中で、犯人を含めた全員が我先にと出口へ殺到し、カジノは完全な大混乱の廃墟と化した。


​2.覆る真実


​「あーあ、またやらかしてるよあの探偵……」


停電した暗闇の中で、懐中電灯を点けた鑑識官がため息をついた。


​「EMPなんて無差別な武器を使うから、店内の防犯カメラも全滅。誰が誰だかさっぱり分からなくなった。犯人の顔も、顧客リストも、全部闇の中だよ」


​結局、スモール探偵の「サイバー制圧」により、客も犯人も入り乱れて全員が逃走。現場に残されたのは、焼き焦げたルーレット台と、接着剤で壁に張り付いたまま気絶しているスモール探偵だけだった。事件は、文字通りの「闇」に葬り去られたのだ。


​3.ビック探偵の巧妙なトリックを使った解決


​「仕方ない。僕が収拾をつけよう」


​暗闇が広がる廃墟と化したカジノの中で、長身のビック探偵は、唯一残されていた非常灯の光を頼りに、優雅に歩いていた。


​「スモール君が電子機器をすべて無に帰すという、前代未聞の全消去(アシスト)をおかけしたようだ。しかし、犯人は『照明が消えれば逃げ切れる』と安易に考えている。だから、少しばかり『トリック』を使わせてもらおう」


​ビック探偵は、逃走を企てていたカジノの経営者——通称「キング」を、ビルの非常口で見事に取り囲んだ。


​「ど、どきな! 証拠のカメラも飛んだ! 顧客名簿も飛んだ! 何の証拠も残っていないはずだ!!」


​「ええ。ですが、あなたという人間は、カジノの経営者でありながら『極度の賭け事依存症』という弱点がありますね」


​ビック探偵は懐から、カジノのロゴが入った「特製のトランプ」を取り出した。


「これは、先ほど混乱に乗じてあなたの部屋から拝借した、この闇カジノ専用のトランプです。実はこの中には、『負けが確定しているカード』を特定のマークで透視できる特殊なインクが塗られています」


​「な、なんだと!?」


​「これは私が仕掛けた『死のゲーム』です。私がこれからこのカードを一枚ずつ引きましょう。もし私が『スペードのA』を引いたら、あなたは自首しなさい。もし私が違うカードを引いたら、私はその場で消えましょう」


​「フハハ! 負けるはずがねえ! さあ引け!!」


​ビック探偵が、暗闇の中で一枚のカードを引き抜いた。


「……スペードのAだ」


​「バカな! 見せろ!!」


キングが慌てて懐中電灯でカードを照らした瞬間、そのカードは「鮮やかなピンク色の煙」を上げて消滅した。


​「ヒィッ! 魔法か!?」


「いいえ、ただの『フラッシュペーパー(燃える紙)』に、私がこっそり黒いインクで絵を描いただけです」


​ビック探偵は、キングの顔のすぐ近くでパチンと指を鳴らした。


「おっと、今あなたが覗き込んだ瞬間に、顔に『特殊な発光塗料』が付着しましたよ。このまま外へ出れば、警察のサーチライトであなたの顔だけがボウボウと燃えるように輝き、一発で身元が割れる」


​「な、何だと!?」


キングがパニックになり、顔を必死に拭い始めたが、それは逆に塗料を顔全体に広げる結果となった。


「取れない! 取れないぞおおお!!」


​「そんなに慌てて顔を擦れば、周囲の照明が戻った時、余計に目立ちますよ。今すぐ警察へ向かって降参しなさい。顔の塗料は、出頭すれば化学専門の捜査官が落としてくれますから」


​パニックに陥ったキングは、暗闇の中で「自分の顔が発光して警察に追われる」という恐怖に耐えかね、泣きながら警察のパトカーへと自ら飛び込んでいった。


​「お見事です、ビック探偵ーっ!!」


スモール探偵が、接着剤で壁に張り付いたまま拍手する。


​「君のEMP攻撃で、犯人が『闇の中でしか逃げられない』という思い込みを作ってくれたおかげで、ハッタリが活きたよ」


​ビック探偵は優雅に踵を返すと、呆然とする警察官たちを置いて、夜の街へと消えて行った。