元高と技術力
やはり元高は負担が大きいか 、と言う記事。中国国内のことを考えれば当然ですか。
そもそもの元の切り上げ圧力は、アメリカの貿易赤字によるものだが、中国の対米貿易黒字の9割は、既にアメリカで作っていないもので占められていると言われる。
従って、元が切り上がってアメリカの対中貿易赤字が減っても、他の国から入ってくるだけだから、アメリカの貿易赤字は当然減らない。にも拘らず為替という外部環境に頼って赤字を減らそうとするのがアメリカらしい。
中国にとって、輸出依存で経済を伸ばすうちは、やはり元があまり早く切り上がっては困る。それが年率2%だと言うのだが、成長率10%を超える国の通貨が、成長率3%の国の通貨に対して年率2%しか切り上がらないのもどんなものかと思う。
円なんか今年だけで対ドルで8%は変動しているわけで、その中でこれだけ安定している元は、中国が為替介入していると思われて当然でしょう。中国の外貨準備高も、1兆ドル目の前まで順調に伸びてきていますし。
本当に元の切り上げペースが速くなる場合、内需主導又は価格でない製品競争の場に中国製品がさらされる事になる。
内需主導で8%の成長を、と中国政府も言っているが、相当都合の良い話に思える。それほどの内需は、少なくともここ数年は中国国内に発生する可能性は低い。
設備投資と不動産、輸出が年率30%も伸びているのに対し、消費は10%も伸びていない。好景気といいっても、収入が消費に回っている割合は低いのだ。
原因はセーフティーネットが基本的に無い事が大きいと言われ、それ故貯蓄率48%と言われる国なので、消費に回すほど豊かな収入のある人は一部にしかいない。
これは、社会の仕組みの問題なので解決には時間がかかるだろう。
では製品競争力はどうか。価格以外と成ると、これも厳しい。
理由は技術力不足で、その基には開発力不足がある。現時点では知識と能力としての開発力に力がないのが問題だが、将来的にも課題と思われるのは、仕組みとしての開発力と言う点で中国は著しく不足していると思われる点だ。
とにかく技術を教えると言う仕組みがなく、であるが為に技術が伝承されず、従って発展しずらいのだ。これは、私自身が二ヶ月中国にいて、現地技術者と関わって実感したことでもある。
人が入れ替わると、1からやり直し。データベース然としたものは当然あるのだが、記録と活用の方法自体が伝授されていない。基本的に流民の集まりの為かもしれない。
工場としての前線基地としての価値は当面ある。その間に社会の仕組みが内需主導に変化を遂げられるかどうか?が課題なのは周知の通りだが、そこに成功した場合、その後は内需を維持する為に、やはり他国の技術を継続的に必要とする国なのではないか、中国は、と思えるのだ。
中国に関しては、最近この本を読みました。
- 加藤 徹
- 貝と羊の中国人
貝と羊を象徴とした中国人論は、歴史的背景の扱いもあってなかなか興味深い。日本人と中国人のバックグラウンドの違いを考えるのに良品な一冊。