翌日、安房の町では特にやることも無かったので、屋久杉ポールペンのことなんてすっかり忘れて、前日バスの運転手に教えてもらった例のポイントに足を運ぶことにした


釣り道具は島の釣り具店でレンタルできる


釣りガイドというものも存在するようだ


結局俺たちは3時間粘ったが釣果なし


時間と潮がよければ爆釣らしいが・・・・


釣りの帰り、フェリー乗り場近くにどっかで見たような顔があると思ったら、昨日の土産物屋の主人だった


あっ・・思い出した


屋久島ポールペン・・・というかこの町 せまっ


そんなわけで、銀行からお金を下ろしてお財布がほくほくになった俺たちは、その足でネギをしょってぷかり堂へと向かったのでした


結局嫁も気に入ったものがあったらしく、屋久杉ボールペン以外にもあれやこれやと買って、しょっていったネギと一緒に見事に料理された


買い物が一通り終わった俺たちは例のテラスでのんびり出してもらったお茶を飲んでいた


そこにはぷかり堂夫婦の子供を子守する近所の小学生と、奥さん、のんびりと流れる川を眺めながら談笑


小学生3年生で子守なんて偉いよなーー


俺が小学生3年始の頃なんて、何件連続でピンポンダッシュできるか競ってたような年だぞ


あれやるのはいいけど、自分がやられるとムカつくんだよなー


しばらく4人で話してると、今度は旦那さんが加わわる


旦那さん、実は元バックパッカーで数年世界を放浪してたのだとか


つまり俺の大先輩


聞きたいこともたくさんあったしで、あれやこれやで質問攻めにした。忙しいのにお茶のおかわりまで出して語ってくれた


テラスの前をゆっくりと流れる透明な川。なんという名前かわからないから安房川と呼ぶ


太陽も傾きだす時間には、川に写る太陽の光が、ゆっくりとした川の流れでキラキラと輝きだす


その川をカヌーが数艇通過し、横にはネコが昼寝し、止まりそうで止まらない時間の中俺たちは談笑を続けた


気がつくと辺りは暗くなりかけていた。結局俺たちはぷかり堂に半日近くも入り浸ってしまったようだ


そろそろ帰ろうとしたら、ご主人が「夜このテラスでいつも仲のいい連中と飲んでるから、よかったらおいでよ」といってもらったので、俺たちは夕食を終えた後、すぐに舞い戻ることになった


戻ったのがちょっと早すぎたらしく、ぷかり堂夫婦はまだ夕食の準備中だったにも関らず、ずうずうしくも俺たちは人様の家族団らんに混ぜてもらう形となった


話の内容はご夫婦自身の事から、屋久島や世界のことなど多岐にわたる話


ご主人はもともと神奈川県出身で、奥さんとはバンコクで知り合った


世界一周から帰って来たご主人は旅行代理店に勤めて屋久島のツアーを担当、それがきっかけで屋久島に移住して今では土産物屋をやるに至ったらしいのだ


前にテレビで見たんだけど、屋久島の子供は高校を卒業すると8割は島を出るらしい


主人の他にも屋久島で商売してる人は移住組みが結構いるとも、その子供たちも大きくなったら島を出て行くのだろうか?


わざわざ他所の土地から移住してきて、その子孫は島を出て行く


こうして屋久島はコアなファンと、一握りの昔から住む人で成り立っているのかもしれない


宴も酣に、隣の家からは奥さんがビールと煮物を持参してテラスの談笑に参加


嫁に屋久島の良さをぷかり夫婦と一生懸命力説してた


その結果、嫁は俺が世界一周に出かけてる数年間、屋久島に住むという決断に至ったようだ


嫁の屋久島移住の話は、冗談でもネタでもなくどうやら本気のよう


今は移住に向けて住居やら仕事やらの問題でつまづいてる状況みたいなので、結果はまた後日お知らせします


宴が終わった後酔っ払いすぎて日本語がしゃべれなくなったご主人に、俺たちは夫婦二人はうどん屋に引きずられていって宴は終了した


ちなみにうどんはおごって貰いました


翌日、気がつくと俺たちはぷかり堂のテラスで川を眺めていた


そしたら奥さんがぷかり堂との出会いのきっかけとなった「塩クッキー」を俺たちにプレゼントしてくれた


奥さんも言っていたが、何が出会いのきっかけになるかわからい


ここまでの旅も、ここまで濃い交流は無かったけど、それなりにいろんな人と仲良くなった


そのきっかけになったのは、釣りだったり、犬だったり、お隣さん同士だったり、塩クッキーだったり・・


何がきっかけになるかわからない


他人嫌いの人見しりな俺が、この旅でいろんな土地の人と仲良く出来た


それはこの旅では人との関りを面倒でも意識してみようと、人懐っこくなってみようと、少しでも思ったからに他ならない


普通に観光やツアーで来てたら呑みに招待してもらえるなんて考えられない


俺たちの旅はまだまだ続くが、これからも小さなきっかけを大切に旅を続けようと思った


それが旅の醍醐味の一つになるに違いないから




世界一周準備中


ぷかり堂 店に来たお客一人ひとり丁寧に接客する土産物屋

屋久島に来たら、宮之浦だけじゃなく安房にも貸与ってもらえると嬉しいです

そして土産と茶はぷかり堂で



高速船の白波の立つ後ろには、雲に覆われた屋久島がいつまでも浮かんでいた

バスに乗った俺達は、たんぱく質を求めて一路港町の安房に向かった


屋久島には町がどのくらいあるのかは知らないが、港のある町は宮之浦と安房だけ


つまり、この二つの町が屋久島の玄関口となるのだ

そしてどちらかと言えば宮之浦の方が栄えているのだ・・・というか、どちらかと言わなくとも宮之浦の方が栄えてる


車内には運転手に御用の際は筆談で伺いますという張り紙があった


俺と嫁はバスの一番前の席に座り今後の予定を話していた


俺たちがフェリーの時間の話をすると、急に会話に入ってきて、親切に時間を教えてくれた

すました顔して運転しているのに、俺たちの話をしっかり聞いているのだ


乗客は徐々に増え、その後もたまに会話に入ってくる。窓の外では猿が毛づくろいをしている姿が見え、バスの中には平和な時間が流れている


俺たちが釣りの話をしだしたら、すかさず会話に入ってきた


今度は早い、赤い彗星のようだ

今まではタイミングを見計らって会話に入ってきたのに、今度はいきなりだ


そこで俺は「運転手さんも釣りするんすか?」と聞いてみた

「やりますよ 休みの日はよく釣りしてますから」と顔がほころび始めた


相当好きなんだろうと思い、俺は話を嫁とではなく運転手と続けた

「どんな魚が釣れるんですか?」


「アジやいわし サバから ちぬやぐれでっかいのもうようよですね」

客が増えてもおかまいなしに話し続ける運転手


仕事中なのに目がきらきらしている

既にこの運転手の目には道路とハンドルではなく、釣竿と海が移っているのだろう


バス停にが近づくと、車内放送のスイッチを入れて「次は○○○○~」と一応仕事はこなしている


さらに客は増えバスは発進する。車内は今では外人からカップル、地元の学生や親子とバラエティに富んでいる

「それれでですね~」


ん??

俺の聞き間違えでなければ、今バスの運転手の声にエコーがかかってたぞ


「今見えたでしょう?あそこの左の堤防が凄いんですよ」

やっぱり・・車内放送切り忘れている


「でっかいのがうようよいるんですよ」

バスの乗客がそわそわしだした


外人なんて大事な車内放送かもしれないと思って必死で耳をそばだててるじゃないか

これは可笑しい


おれは敢えて注意せずに話を続けた

その後も運転手は車内放送を入れっぱなしで「エビをつけるといいですよ」


「なるほど 堤防は内側と外側どっちがいいんですか?」

「内側にもいるけど、激しいファイトがしたければやっぱ外側がいいですよ」


「なるほど」

「浮きが海にけしこんで、あの竿がしなる感覚がたまらんですよ」

ようやく釣りのキーワードが出てきてバスの乗客は合点がいったような顔をしだした。あ~スイッチ切り忘れてるなってさ

でも外人の顔にはいつまでも眉間にしわがよったままだった



下山したあとも屋久島に少しの間滞在しようと思って、浜辺あたりにテントでも張ろうかと、当初はそういう話であった


でも風呂に入りたい、塩辛いものが食べたい、布団で寝たい・・・里の誘惑に負けた俺たちはやっぱどっかに泊まりたいと言う話でまとまった


なんも調べてなかったので、安房に着いた俺たちは観光協会に向かった


観光協会を実際に利用するのは初めてだったんだけど、凄く便利だ


予算と好みの部屋タイプを話したら、あっという間に見つけて予約までしてくれるし、食事するところも探してくれる


部屋がないと断られそうになってもそう簡単には引き下がらず、結局5人じゃないと泊めないと言っていた大きな部屋を取ってくれた。大部屋しか開いてなかったから断られそうになったらしい


恐るべし、観光協会の力


屋久島の宿は基本スタイルが素泊まりの民宿2500~5000円の間が相場みたい


普通のホテルや宿もあるみたいだが、数はない


少なくとも安房には数件しかない、残りは皆民宿


このスタイルが屋久島という島なのだ


俺たちが予約した民宿は一人3500円の素泊まり


どんな汚いところかと思いきや、外観はともかくとして、中は俺の部屋よりよっぽど綺麗だ


六畳二部屋にテレビも2台

世界一周準備中

リビングキッチンは共同

自炊もできるし、屋久島の焼酎「三岳」も飲み放題

世界一周準備中


これで3500円は安いんじゃないか?


でもこれが屋久島の相場らしい


さてさて、シャワーを浴びてすっきりした俺たちは、たんぱく質とカロリーを求めて飲食店を探すたびへと出かけた


民宿を出て10秒も歩くとなにやら怪しげなのぼりが風に煽られパタパタとはためいていた


そこには「塩クッキー」と書かれている・・・


なに? 


クッキーだと?・・・けしからん!!


一刻も早くカロリーを摂取したかった俺たちは、そのノボリの店を探すために川沿いを必死で早歩きした


店の前に着いた俺たちは・・・・というかガレージの前に着いた俺たちは、そのガレージの横にある階段を上がったらある小屋の横で例の塩クッキーのノボリを再度発見した


というかその小屋が店だ


その名もぷかり堂


ただの土産物屋だ


なぜ文字がでかいかって?


それは後で分かるわよ


兎に角「塩クッキー」が早く欲しくて小屋の中に入ったのよ


土産物なんてそっちのけで・・・・と思ったら、屋久杉で出来たイかしたボールペンがあったわけ


でも現金がない


銀行も今日は終了の時間、そしてこの町にはコンビにがなかとーーー


ってなわけで、ボールペンその他気になったものは明日買いに来るって言って、塩クッキーだけ買ったのよ


そんでもってどっか食べるとこないかなーって探してたら、あら素敵なテラスが小屋の前にあるじゃない。というか素敵なテラスに小屋が乗っかっていると表現したほうが○


「どうぞ」なんて言われたもんだから、その素敵なテラスで買ったクッキーに二人でかぶりついてたら、今度は茶が出てくるじゃない


気が利くわね


ただの土産物やじゃないわ ここ


っていうか、茶なんて出されたら律儀な俺はやっぱボールペンは必要ないかなーなんて言ってバックレルことが出来なくなったわけです


そんなわけで、また明日って言って取り合えずこの日は店を後にしたのでした


世界一周準備中


テラスからの風景


番外編2に続く







「チュイーーン グゴガガガガガガーーー」


誰だ?真夜中にチェーンソー振り回してるやつは?


今日は13日の金曜日じゃあるまいし


ここら辺の屋久杉は伐採禁止のはずだ。しかもこんな真夜中に・・・


俺は文句を言ってやろうとテントから出ようと起き上がったら・・・嫁のイビキであった


とりあえず蹴りを入れてチェーンソーのエンジンを切っておいた


本日は下山する

前日まで淀川の方か、花乃江河登山道を通って屋久杉ランド方面に下るか、決めかねていたが、たくさん歩きたいとのことで屋久杉ランド方面に下ることになった


花之江河登山道は普段人の入った形跡がなく、くもの巣はそこら辺で絡まるし、倒木だらけだしで、登山道は荒れ果てていた


その反面、人が踏み入れないためか、登山道にもコケが群生している

登山道といっても踏み後程度で、実際には10メートル置きに、木に結び付けられた赤テープだけが頼りである


非常に迷いやすい、いつ道を見失ってもおかしくない状況

そんな不安が続く中、ついに俺たちは道に迷ってしまった


赤テープを辿りながら森の中を進んでいたら、急に目の前に人が作ったであろう、人工の木の階段が姿を現せたのだ

そこは登山道に間違いない。俺達は一切の疑いを持たなかった


しかし、階段を数分下ると、下には大きな杉の木があるだけで、階段はそこでぷっつりと切れていた

よく見ると階段は沢筋に繋がっていたので、そのまま不安感を抱きながらも沢筋のほうに下り始めた


数分下ったところで、一向に赤テープが出てこないのに不信感を感じ、一度階段の切れ目まで引き返した

その後も周囲のふみ跡のようなところを何箇所か進んでみたが、赤テープを発見することはできなかった


そんな事をどれだけ繰り返したことだろうか・・・

いよいよ決断しなくてはいけない


俺の頭の中には二つの選択肢があった

一つは定石通り来た道を引き返し、淀川方面から下山するか


もう一つはコンパスを使ってルートファインディングしながら下るか

答えは簡単、引き返すことだ


しかし、このときなぜ俺の頭には二つの選択肢があったのか・・・

登山経験がある人なら理解できると思うが、引き返すとい事がどれだけ精神的にも肉体的にも苦痛をともなうかことか


とくに今の俺達は連日の疲れも抜けきっていない。はやく下山したかった

しかし、引き返すともなると、今まで下った道を登り返す必要もあるし、そんなことをしていたら下山も数日遅れてしまう

この感覚が人の判断力を惑わし、引き返すという簡単な選択肢を意図も簡単にひねり潰してしまうのだ


まぁ、俺には雪山での良くない経験があるので、少し魔が差しはしたが、引き返すという正しい道を選んだ


俺達が、来た道を引き返すため例の階段を上っていたら、上の方から人の話し声が聞こえてきた


しかし、いくら待っても声は近づいてこない。そして、やがて声は遠ざかっていった・・・


つまり他に道があるのだと思った俺は急ぎ足で階段を上り詰めていった

そうすると階段の一番上に三十路の道と立て札が立っていたではないか


立て札を見ると、今俺たちが立っている階段の方面は「大和杉」とかいてある。さっきのデカイ杉だ

つまりこういう事だ


俺達は赤テープを追いながらもいつの間にか登山道の少し下を歩いていたようだ

そのため大和杉に向か階段に途中からぶつかり、それが正規の登山道だと思い込み、疑いもせずに迷い

込んでしまったのだ


あとでガイドブックで判明したことなのだが、大和杉周辺は迷いやすいとの事だった


結局戻るという当たり前の選択肢が一番正しかった


俺は改めて迷ったら戻れの正当さを思い知る形となってしまった


その後も何回か道を見失いながらも俺たちは午後14時に無事下山することができた



屋久島 番外編へ続く


世界一周準備中



世界一周準備中



世界一周準備中

屋久島は水が何処も綺麗

北アルプスなんかは水が少なく、場所と季節によっては6リットル近い水を持ち歩かないといけないのに、ここは何処でも汲んで飲めるから、二人で2リットルもあれば足りる