2018年4月からスタートしたアニメ「ピアノの森」。
恩田睦の小説「蜜蜂と遠雷」とテーマは近いですね。
また、一方がサラブレッド並みの血筋をもつ優秀な優等生タイプ、
もう一方が劣悪な環境に育っているけれど破天荒な天才タイプと
両極端なキャラクターを対比させるのは、一条ゆかりのマンガ「プライド」の
麻見史緒と緑川萌の対比にも似ています。
「ピアノの森」のマンガ自体は、最初のほうだけしか読んでいないのですが、
主人公一ノ瀬海が、ショパン国際ピアノコンクールに出場するところまで
描くということで、注目していた作品でした。
数年前に映画化もされましたが、そちらは見逃してしまったので、
今回テレビアニメ版で見られるのがうれしいです。
このアニメに出てくるピアニストもしくはピアニストの卵たちが演奏する
ピアノ演奏は、キャラクターごとに違うピアニストが担当することになっているので、
ブラウン管を通してではありますが、それぞれの演奏の違いや個性なども
楽しめそうですし、クラシック音楽の世界を描いていることもあり、
1話ごとの所感などを、記録として残していこうと思います。
第1話は「選ばれた手」。
マンガ版とは異なり、冒頭でいきなりショパン国際コンクールの
本選(だと思う)のシーンから始まり、そこから少年時代を回想
というつくりになっていました。
コンクールの舞台でカイが弾き始めたのは、ショパンのエチュード作品10-1。
最初から最後まで連続して右手がアルペジオを奏でているその音の様子が
似ているところから「エオリオン・ハープ」という名前がついています。
カイの演奏は誰の演奏なのか、ピアニストが明かされていないのですが、
のっけから勢いよくて、みずみずしいキラキラした音色での演奏でした。
この曲は、「ピアノの森」という作品そのものを表すようなイメージがあるのか、
2話以降は、オープニングテーマ「海へ」として、オーケストラバージョンに
編曲されたものが流れます。
さて、このカイ、ピアノを習ったことはないけれど、森に捨てられたピアノを
独学で弾きこなしている、という設定。
アニメ上では「森の中にポツンと置かれたピアノ」が、とても美しく
幻想的に見えますが、実のところ雨ざらしの中にほったらかしにされたピアノは、
中の弦はサビサビだろうし、音も完全に狂っていて悲惨な状態だと思われます。
このピアノは、事故によってピアニスト生命を絶たれ、今はカイの通う小学校の音楽教師となった阿宇野(あじの)壮介のもの。
阿宇野仕様で特別につくられたものなので、ふつうの人には弾けないという設定ですが、特別仕様というと、かなりハンマーを重たくしてかなり指の力がないと弾けないようになっているのかなと推測します。実際、音大生時代の自分も調律のときに、あまり鍵盤が軽くならないように、ちょっと重めにしてね、みたいな注文をつけたこと、ありました。
なので、調律もせず長い間ほったらかされていたら、同じ状態をそのまま保てるのかはちょっと疑問です。
普段そうやってかなりの力で弾いているので、同じようにして雨宮修平の家にある、ふつうのピアノを弾くと、ものすごい爆音かつきたない、乱暴な音になってしまい、修平くんが
「ありえない!」と、びっくりするわけです。
また、ピアノを弾く手のシーンも、かなり精巧に本当に弾いているようにつくられていますが、それでもやはり、ピアノの音に比べると一瞬指の動きが遅いので、若干の違和感はあります。
ま、そこはアニメというファンタジーの世界なので、横において。
カイは小学生にしては、相当指の力が強い子どもという設定なので、彼の手は「選ばれた手」であると、阿宇野は思うわけです。
さらに、生まれつき音感がいいらしく、一度聴いただけですぐに再現できるという聴覚の持ち主。
学校の音楽室で阿宇野が弾いた「茶色の小瓶」に対して「音を間違えた」とか
「2回左手が遅れた」なんてことをサラッと言ってのけられるのです。
マンガだと、音が出ませんからセリフを見ながら想像するしかありませんが、
テレビアニメ版では、阿宇野のピアノ演奏を担当した反田恭平さんが、
ちゃんと1か所左手の音をひっかけ、さらに2回ちょっと左手が遅れたような
感じで演奏していました。
30分アニメですが、この「ピアノの森」は、私としてはかなり見応えのある
中身の濃いアニメになりそうですね。