ずいぶん前のことになってしまいましたが、
3月21日春分の日の振替休日の日に、
渋谷オーチャードホールで行われた「爆クラ!presents ジェフ・ミルズ×東京フィルハーモニー交響楽団」
クラシック体感系~時間、音響、そして、宇宙を踊れ!~
を聴きにいってきました。
このコンサートは、以前から何度も足を運ばせてもらっている
湯山玲子さんプロデュースによる「爆クラ!」のリアル版。
今まで主に六本木の「音楽実験室 新世界」というライブハウスで行っていたイベントを
コンサートホールで、しかも生の演奏で体感してしまおうという企画です。
(新世界、残念ながら3月末で閉店したそう…)
最近のヨーロッパでは、テクノやハウスなどの
クラブミュージックのDJやミュージシャンが曲を作り、
それをオーケストラと共演する、という試みがされているそう。
一見、かみ合わないような組み合わせですが、
音をつかってその場の時間や空間、独特の宇宙をつくりだす
という点では、共通するものがあります。
この試みの先駆者が、デトロイト・テクノの第一人者で
DJ&プロデューサーとして活躍するジェフ・ミルズさん。
今回のイベントは、このジェフ・ミルズさんをゲストに迎えて
前半はクラシック曲の中でも、音を体感できるオーケストラ作品、
そして後半はジェフ・ミルズさんの作品が演奏されました。
前半は、ハチャトリアンのバレエ音楽「ガイーヌ」から
「レズギンカ」からスタート。
小太鼓の小気味いいビートが、今のポップスにも通じるようで楽しいです。
続いて、武満徹の「遮られない休息Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」。
まるで映画音楽のような美しさです。
そして、ここでオーケストラではなく、ピアニストの反田恭平さんによる
ラヴェル「水の戯れ」。
ラヴェルの特徴でもある透明感に加え、意外に(?)柔らかな
変幻自在な水の柔軟性を表現したような美しい演奏でした。
そして、現代音楽的なアプローチでプリミティブな響きを持った
坂本龍一の「Anger-from untitled 01」に続き、
ジョン・ケージの「4分33秒」を初体験しました!
4分33秒間のあいだ、楽器の音を鳴らさずに、ただそこにいるという
有名な作品ですが、体感するのはこれが初めて。
指揮者はどうするんだろうとじーっと見ていると、
一応3楽章形式になっていて、楽章の始まり部分で
それを示すように指揮棒を振りますが、あとはそのまま
譜面台にあるタイマーを見ながらじっとしているだけ。
なんの音もしない、といっても、会場には
空調のゴーという音が聴こえてくるし、
なかには咳ばらいをする音も聴こえてくるし、
その場所でしか体感することのない空間と音を
耳をすませて聴くという、非常に貴重な体験をしました。
前半の最後はレスピーギの交響詩「ローマの祭り」から主顕祭。
祭りにわく街の様子や喧噪を、映画ならいろんなカット割りで見せるところを、
それを音楽だけでやってのけている、おもしろい構成の作品です。
後半は、いよいよジェフ・ミルズさんの作品とオーケストラのコラボレーション。
「Where Light Ends-光が終わる場所」は、宇宙飛行士の毛利衛さんに
インスパイアされてつくったという作品。
(当日、会場には毛利さんがいらしてました!)
実は、ちょっとミニマルミュージック的に同じ形の
メロディラインがずっと繰り返されるので、途中で意識がなくなりました。
そして、アマゾンの奥地で何かうごめいているようなミステリアスな「Amazon」、
マリンバと弦のユニゾンによる柔らかな音と高らかになるベルの音が美しい「The Bells」で
幕を閉じました。
前半のクラシックでは、どことなくよそよそしい感じがあった会場が、
後半のジェフ・ミルズさんの作品になると、「ウォー」と歓声があがり、
より大きな拍手があったところをみると、
今回のイベントは主にジェフ・ミルズファンが占めていたのかな、と思います。
こちらとしては、やはり前半のクラシックで
会場の空間と時間を存分に体感できるプログラムが聴けて
とても満足でした。