ア・カペラの合唱がすばらしい!~ローマ歌劇場「ナブッコ」 | Cecilia's Diary

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「聖セシリア」は、音楽の守護聖人。これにならって、音楽をはじめとする芸術や
伝統文化などを楽しみつつ、毎日を生き生きと過ごしている様子をつづります。
ライフワークとしてコーチングも勉強中。

週末の日曜日は、両親とともにローマ歌劇場が上演する
ヴェルディのオペラ「ナブッコ」を観に行ってきました。
指揮はリッカルド・ムーティさん。
今回は、両親がスポンサーになってくれて、チケット代を出してもらいました!

「ナブッコ」は、ヴェルディの初期のオペラ(3作目)で、
このオペラの成功が、ヴェルディがオペラ作曲家として出世するきっかけになったもの。

旧約聖書に出てくる新バビロニア王朝の王ネブカドネザル王が、ナブッコのモデル。
新バビロニア王朝がイェルサレムに侵攻し、多数のユダヤ人たちを捕虜として
バビロンへ強制連行した史実をもとにしていますが、史実とは異なるストーリー。
話の流れは、やはりこの旧約聖書をもとにした戯曲「ナブコドノゾル」に基づく
バレエのストーリーをもとにしているらしいです。

そして幕があがると、ユダヤの民たちが新バビロニアの侵攻に怖れを抱くなか、
大祭司ザッカリーアが、ナブッコの娘フェネーナを人質にしているから
恐れることはないと諭します。

ここで、フェネーナと彼女を慕うイズマエーレが登場し、
イズマエーレがフェネーナを逃がそうとするのですが、
そこへフェネーナの腹違いの姉、アビガイッレが現れ、
ユダヤの民の命と引き換えに、イズマエーレに愛を迫ります。(第1幕)

このシチュエーション、のちの「アイーダ」にもつながりそうですが、
このオペラでは「アイーダ」ほどこの悲恋の二人には焦点があたらず、
アビガイッレが恋敵のフェネーナに恨みを抱く部分だけが強調され
二人の恋愛についてはわりとあっさりと進みます。

次にナブッコが現れて、ザッカーリアは人質のフェネーナを殺そうとしますが、
それをイズマエーレが阻止。そのためイズマエーレは裏切り者として非難されます。
そしてナブッコは、イェルサレムの町と神殿を破壊せよと命じます。
(この破壊する部分、特に演出では表現されなかったのがちょっと残念)

そしてアビガイッレは自分がナブッコと奴隷の間に生まれた子どもで、
その出自から長女であるにもかかわらず、王位継承権がないことを知り、
王位継承権を持つ妹のフェネーナをますます憎みます。
そこへ、バビロニアの神官がフェネーナではなくアビガイッレが
王位を継ぐべきだとたきつけます。
一方、フェネーナを助けたイズマエーレはユダヤの民から非難を受けますが、
フェネーナがユダヤ教に改宗したことをザッカーリアが伝え、
二人を許すように民を諭します。(第2幕)

そこでナブッコが死んだといううその情報を流し、
フェネーナから王冠を奪おうとしますが、そこへナブッコが現れて
「自分は王ではなくもはや神である」と傲慢なことを言った途端、
落雷したためにナブッコは錯乱し、力をうしない、王冠はアビガイッレへ。(第3幕)

王位についたアビガイッレは、ユダヤの民を処刑するようナブッコに迫り、
その命令書に押印させてしまいます。
それはすなわち、ユダヤ教に改宗したフェネーナの命も奪うと
知ったナブッコはアビガイッレに哀願しますが、聴き入れられません。

ついに監禁されてしまったナブッコは、自分が侮辱してしまったエホバの神に
許しを乞い、そのナブッコを忠臣たちが救い出し、彼は王位を奪還することを決意します。
そうするうちにもフェネーナの処刑は迫り、あわやということろで
ナブッコが登場し、バビロニアの神々の偶像を破壊することを命じます。
そしてエホバの神を讃え、ヘブライ人の釈放と祖国イェルサレムへの帰還を宣言。

そして、アビガイッレは自ら毒をあおって、瀕死の状態のなか、
ナブッコとフェネーレに許しを乞いながら死んでいきます。

と、こんなストーリーで、あまりにも短絡的なストーリー展開に
いろいろ突っ込みたいところはありますが、
オペラはストーリーではなく音楽ありきなので、あまりうるさいことは言わずに。

まず、このオペラの序曲は、オペラ中で使われる曲のテーマを要約しているので、
とても起伏に富んだ作風です。

そして、最初に登場するザッカーリアのバリトンがステキ。
テノール歌手の明るい高い声もステキですが、
バリトンの重厚感のある安定した深い声もなかなかです。

ナブッコ役もバリトンですが、どちらかというとザッカーリアのほうが
好みの声でした。

そしてアビガイッレ。今回タチアナ・セルジャンという歌手が歌うはずでしたが、
急な体調不良により、ラファエッラ・アンジェレッティという方に変わりました。
このアビガイッレ、かなり高音まで出すのですが、
そもそもイェルサレムに敵対心を持ち、また恋敵であるフェネーナに
敵意を持ち、思い通りにならないイズマエーレにも怒りを感じて…と、
前半はもう怒り、敵意のかたまりみたいな人で、それが声にも表れていて
美しい高音ではありますが、どこか「キーッ!」とヒステリックな歌い方。

それが、最終幕の毒をあおって死んでいくところでは、
同じ超高音でも、どこか悲しげですべてを悟って素直になり、
穏やかな気持ちになったということがわかるような、やさしく柔らかな声になっていて
超高音を歌うというだけでも大変なのに、このように歌い分けるのは
プロといえどもすごい!と思いました。

また、このオペラでは、ユダヤの民衆の大合唱が何度か出てきます。
「アイーダ」にも合唱は出てきますが、この「ナブッコ」は
かなり合唱が多い舞台です。

第3幕第2場で、ユーフラテス河畔でユダヤの民衆が故郷を思って歌う有名な合唱曲
「行け、わが想いよ、黄金の翼に乗って」が歌われます。
この曲、囚われた人たちが故郷を想って歌う合唱なので、
このオペラ初演当時、諸外国の支配下にあったイタリア人の心情に合っていると
イタリア統一運動の原動力になったと言われていて、
そのためイタリアの第2の国歌として親しまれているそう。
(でも、ユダヤをたたえる民衆の歌だから、イタリアの国歌としては
どうなんだろう…)

そして、そして、最終幕で、ナブッコが登場し、
エホバの神を讃えたあと、敵味方なく全員で壮大なエホバ讃歌を合唱するのですが、
この合唱がア・カペラ!
オペラの中でア・カペラの合唱が出てくるのは今までに観たことがないのですが、
おそらくほかにないんじゃないでしょうか。
総勢100人以上によるア・カペラ。
下のオーケストラピットからムーティが指揮をして、
ここぞということころで、オケの演奏が入って一気に盛り上がる。
ここ、最高にすばらしかったです!

いつものことながら、オペラ終演後の熱い拍手にこたえて
カーテンコールが数回行われましたが、
この日はナブッコ上演の最終日であるだけでなく、
ローマ歌劇場日本公演の最終日ということで、
何度目かのカーテンコールのときに、上からキラキラした紙吹雪と
たれ幕が下りてきました!
そこには
「Congratulazioni per il grands successo.
Grazie Maestro Mutti, Grazie tutti!」
(大成功おめでとうございます。マエストロ・ムーティありがとう。
みなさんありがとう)

という文字が書かれていて、さらに観客一同大盛り上がり。

オペラ上演の最終日にあたったことって今までなかったのですが、
いつもと違うサプライズにも出あえてとてもラッキーでした。