因習の中でもたくましく未来に向かって生きる~少女は自転車に乗って | Cecilia's Diary

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「聖セシリア」は、音楽の守護聖人。これにならって、音楽をはじめとする芸術や
伝統文化などを楽しみつつ、毎日を生き生きと過ごしている様子をつづります。
ライフワークとしてコーチングも勉強中。

岩波ホールで上映中の映画「少女は自転車に乗って」を観てきました。
先日、「アンナ・ハーレント」を観たときの予告編で紹介されていたときから
ちょっと気になってましたが、たまたま知人が観に行っていて、
よかったとコメントしていたので、観に行ってみました。

舞台となるのは、サウジアラビア。
監督はサウジアラビア初の女性監督、ハイファ・アル=マンスール。
サウジアラビアという国のことはよく知らないですが、
まだまだ古い習慣や規律があるようで、女性の立場がとても低いようです。

この映画でも、その女性に対する規制が描かれています。
主人公のワジタは10歳。幼なじみのアブダラが自転車に乗っているのを見て、
自分もほしいと母にねだりますが、いい顔をされません。

サウジアラビアでは、女性が運転してはいけないとか、
ひとりで外を出歩いてはいけないとか、男性から見える場所に姿を現してはいけないとか
今の日本からすると考えられないような制約があるのです。

だから、女の子が自転車に乗るなんてことも、もってのほか。
でも、ワジダはどうしても自転車がほしくて
自分でせっせとミサンガを編んで売ったり、上級生の密会の手伝いをして
一生懸命お金をためますが、自転車はとても高価なものなので、
なかなかその額まで貯まりません。

そこに、コーランの暗誦コンテストが行われるという話が舞い込み、
その賞金額がちょうと自転車が買える額!
ワジダはコーランが苦手で、暗誦の授業のときも身を入れていなかったのですが、
自転車が買えるならということで、一大決心をして
このコンテストに出ることにします。

ワジダが通う高校の校長先生(結構若い女の人!)は、
結構イケズな感じで(笑)、何かにつけ目立つワジダを
目の敵にしていたのですが、ワジダが心を入れ替えてコーランを暗誦しはじめたことで
少しその矛先がおさまります。

この、自分の願望をかなえるために自分の苦手なものに
必死で取り組むワジダの姿は、何か訴えるものがあります。

自分の「こうしたい!」という強い気持ちが、苦手なものをも
乗り越えてなんとかしようと行動する。
人の強い想いというのは、人の行動まで変えてしまうものなんですね。

その甲斐あって、ワジダはみごと暗誦コンテストで優勝。
賞金を手に入れますが、しかしここですんなり自転車が買えないんです。

せっかく一生懸命がんばったのに、報われない…。
これもまた現実の厳しさです。

でも、最後にワジダは母からステキなプレゼントをもらうのです。
それまで、ワジダが自転車に乗りたいという気持ちを否定してきた母。
でも、ワジダががんばっている姿を見て、
またワジダ以降、子どもが産めなくなった自分を置いて、
跡取り息子を得るために第二夫人と結婚してしまった夫との関係を見つめて、
母はワジダにこれからの未来を託したのかもしれません。

このワジダ、たった10歳で古い因習を打ち破って
自分の願望をかなえようとした勇敢な少女。
このワジダが大人になったら、きっと女性の地位が低い
古い慣習に縛られた状態を打ち破ってくれるのではないか、
なんて期待してしまいました。