ジャンル:オカルト
製作国:米国
監督:M・ナイト・シャマラン
愛するポイント:誰もが信じる(信じたい)テーマで愛を描いたヒット作
ブルース・ウィルスからのネタバレ禁止のお願いが功を奏したか、大ヒットしたM・ナイト・シャマランの日本デビュー作「シックス・センス」は、今でもシャマランの最高傑作とされているようです。
僕は本作以外にも「ヴィレッジ」と「レディ・イン・ザ・ウォーター」を愛する映画に入れていて、ほかにもいくつか好きな作品があるくらいのシャラマンファンですが、「シックス・センス」が一番よく出来ていると言う意見にあえて反対はしません。
超常現象をベースとしたサスペンスが得意な彼の創造力・想像力は生半可ではなく、どの作品も奇抜な発想に満ちていて楽しいのですが、「シックス・センス」以外の作品は一般的に人気がない、というか「シックス・センス」の人気がとりわけ高いのには理由があるように思います。
それは、超常現象のなかでも、多分もっとも実際に存在すると信じられている"幽霊"がテーマであること。
神や悪魔は信じないが幽霊は信じると言う人はたくさんいそうだし、宇宙人の存在を信じている人よりは絶対に多そう。
スーパーヒーローがいて欲しいと思う人は多いでしょうが、幽霊の仕業か?と思わせる事件・事象は数多いのに、スーパーヒーローのお陰で解決した事件や助かった人のことはついぞ聞いたことがなく、信憑性に乏しい。
モンスターや(ツチノコなどの)UMA(未確認動物)の話は楽しいけど、やはりこの目で見たり存在が確認されたりしない限り実在するとは信じがたい。
かたや幽霊が存在する(見たことがある)と言う人は(知り合いを含めて)引きも切らず、僕の住む鎌倉などは霊感の強い人にはうじゃうじゃいるのが見える(または感じる)とまで言われています。
映画も「ゴースト」が大ヒットしたし、「天国から来たチャンピオン」や「オールウェイズ」、邦画では「雨月物語」や「居酒屋幽霊」(未見)のほか、「四谷怪談」や「番町皿屋敷」のような怪談物もある。
「ヘルハウス」「チェンジリング」「ハウス」など、死人の霊に悩まされるサスペンス・ホラーのヒット作も数多くあります。
洋の東西を問わず死んだ人に生きていて欲しい、生前に満たされなかった思いを遂げさせてあげたい、裏返せば自分自身も死んだあとも生きて思いを遂げたいと言う人々の願いが、幽霊を"あり得る"存在としているのでしょう。
「シックス・センス」は、そうした一種のリアルさ(現実味)によって支えられているところが、まず他のシャマラン作品とは異なります。
宇宙人やスーパーヒーロー、モンスターや予言などよりはるかに信じられる(と観客が感じる)幽霊のストーリーであるだけによく練れていて、突っ込みどころも少なかったように感じました。
もうひとつ、「シックス・センス」を(シャマラン作品中ではとりわけ)良くできた作品にしているのは、そこに親子愛、夫婦愛と言った切ない愛が存分に描かれていること。僕が観た限りではこれは他のシャマラン作品には見られない(あったとしてもさほどインパクトを感じられなかった)「シックス・センス」ならではの特徴です。
「ゴースト」があれだけヒットしたのも愛の力を前面に押し出したゆえだったことを考えると、愛をしっかりと描いたことが「シックス・センス」成功の鍵だったと思います。
さらに天才子役と言われオスカーにノミネートされたハーレイ・ジョエル・オスメントはもちろん、「ダイ・ハード」の大ヒットでブレイクしたブルース・ウィルスのアクションではなくキャラクターで見せた好演も光りました。
公開から四半世紀、さすがに映画ファンの間では内容も結末も知れ渡っている作品かと思いますが、まだ観てない方はブルース・ウィルスの願いを聞いてできるだけまっさらな状態で観ることをおすすめします(だったらむやみに紹介するな、ってことかもですね)。