このブログで名前を出すたびにネガティブな書き方をしてしまうグレゴリー・ペックですが、「ローマの休日」を筆頭に、世評が高く自分が観ても面白いと思う作品に何本もでています。
極めつけは「愛する映画」の1本に選んだ「アラバマ物語」ですが、そのほかにもお勧めしたい作品をご紹介します。
白鯨 Moby Dick (1956)
登場人物が有名コーヒー店の名前の由来にもなった、ハーマン・メルヴィルの代表作の映画化。自分が感じる「尊大で傲慢」なペックのキャラがエイハブ船長に遺憾なく発揮されています。
この作品の場合は、「白鯨」という存在の象徴的な巨大さが印象深く、癖の強い個々の登場人物に対する好き嫌いは鑑賞の妨げになりません。
自分も原書を購入したまま読んでいない、やや難解と言われる原作を読むのが面倒であれば、まず映画をおすすめします。
渚にて On the Beach (1959)
たびたび小説や映画の題材になっている「核戦争後の世界」を描いた作品。放射能汚染が広がる中、それぞれの方法で残りの人生を生き死を迎えようとする人々の姿を静謐な筆致で描き、戦争のむなしさ、人類の愚かさを訴えます。
ペックは核戦争を生き延びた米軍の潜水艦長を演じます。モノクロ作品。
恐怖の岬 Cape Fear (1962)
異常心理に支配された犯罪者(ロバート・ミッチャム)に狙われた弁護士(ペック)家族を描いた、相当に恐ろしい作品。1991年にロバート・デ・ニーロが犯罪者、「48時間」のニック・ノルティが弁護士を演じた「ケープ・フィアー」としてリメイクされました。背中一面にタトゥーが掘られたデ・ニーロのイメージを覚えている方も多いでしょう。
超短いレビューはこちら。これもモノクロです。
オーメン The Omen (1976)
「エクソシスト」が一世を風靡したこともあって、悪魔系のオカルト作品が数多く制作されましたが、時系列にみてそのうちの1本と言っていいでしょう。が、少なくともペックが主演したオリジナルには、亜流、二番煎じと言えない巧みに組み立てられた怖さがありました。
3つの6が悪魔の象徴として周知されたのはこの映画のおかげでしょう。シリーズ化されたものの、2作目、3作目と質が落ちていったのは残念です。
ペックは、悪魔に目をつけられて悪魔の息子(アンチキリスト)の養育者に選ばれた政界の実力者を好演しました。
以上、グレゴリー・ペックという人は、どちらかというと被害者的な立場の役の方が似合う気がします。映画としては好きではありませんでしたが、粗暴な性格のため愛を成就できない男を演じた「白昼の決闘」のキャラクターも印象的でした。
不思議なものでこうやって出演した作品や演じた役柄をたどってみると、グレゴリー・ペックは大した役者だったような気さえしてきました。昔のスターであり、作品を観たのがほぼ子供のころだったのが好き嫌いに影響しただけで、実はアンチファンなのかもしれません。
まだ観ていない作品もあるので、食わず嫌いしないようにしようと思います。