「古い映画」鑑賞のおすすめ | 映画の楽しさ2300通り

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ある映画好きからすべての映画好きへの恋文
Love Letters to all the Movie Lovers From a Movie Lover

もう少しオシャレに「クラシック」という言い方もありますが、クラシックには「古典」とか「評価の定まった」とかいう意味もあるようなので、ここでは単に「古い」としておきます。

愛する映画たち」のラインナップを見ていただければおわかりのように、自分は古い映画を好む傾向があります。ちなみに愛する映画248本(2021年5月現在)のうち、21世紀(2001年以降)に公開された作品は70本。さすがに戦前(応仁の乱ではなく、第二次世界大戦)の作品は少ない(10本)ですが、ほぼ「戦後の昭和」にあたる50年代から90年代にかけての作品が多いです。90年代は最近のように感じていましたが、もう20年以上前のことなんですね。

新しいより古いほうが好きなわけではなく、単に作品の面白さと製作年の新旧には相関関係がない、と思っているだけなのですが、そういいつつ古い映画を好んで観るのには理由があります。

それは鑑賞コストが安いこと。市場原理から見ても当然でしょうが、新作映画の鑑賞は旧作よりも高くつきます。昔は新作ロードショー館の半分以下の入場料で旧作の2本立て、3本立て(オールナイトなら5,6本)を観ることができました。
最近では新作はロードショー後まずWOWOWに代表される有料チャンネルで配信されますし、レンタルでも単価が高めに設定されますが、旧作になれば、NHK BSやムービーチャンネルで放送され、レンタル料も安くなります。NHKやケーブルにも利用料は払っていますが、ほかの番組も見るのでそれはサンクコストということで(WOWOWやスターチャンネルはケーブル利用料に上乗せした料金がかかります)。

さらに最近はまっているのが格安DVDでの鑑賞。DVD等のメディアでの鑑賞の良しあしは別途として、近頃では10枚セットで1000円台(1枚当たり200円以下)で購入した作品を見ることも多くなりました。

1枚1000円以上、場合によっては数千円する場合もあるDVDが安く入手できる要因のひとつは、著作権。2004年の法改正(?)により現在は公開から70年は著作権が保護されますが、それ以前は保護期間が公開から50年であったため、1953年以前に公開された作品は2004年に著作権による保護が切れた形になりました。
法解釈をめぐって裁判もありましたが、結果としてみんな大好き「ローマの休日」、最愛の映画「シェーン」は著作権切れとなり、今では500円以下(前述のセットの場合本数換算で200円以下)で購入できます。

そこまで人気があるわけではない作品はNHK等でもなかなか放送されないし、番組表のチェックがかかせず手間がかかるので、DVDが安く手に入るのは嬉しい。というわけで、観たい(観なおしたい)と思いつつ長いことかなわなかった「ヴァージニアン」「殺人者」「裸の町」「越境者」などの作品を観ることができました。

でも10枚組だと観たい映画以外の9作品は無駄になるので、結局高くつくのでは?と考える方もいるでしょうが、自分は「映画好き」なので無駄とは思いません。むしろ知らなかった、あるいは特に観たいと願っていなかった作品が、観たら面白く、好きになる場合があるので、そうした出会いも楽しんでいます。
まあ気になる方は、10本中3本くらいは観たい作品があるセットをえらべばよいでしょう。

格安DVDの話が長くなってしまい、なぜ古い映画を観るべきなのか、という話題から離れましたが、正直、新しい映画より古い映画を優先して観るべき、とは思いません。ただ、小説の古典(「源氏物語」や「カラマゾフの兄弟」、アガサ・クリスティの諸作品などなど)、あるいは絵画やクラシック音楽と同じように、どんなアートのジャンルでも新しいものと同じく古いものを鑑賞することにより楽しみが広がると考えているのです。
少なくとも観る前から「古臭い」「白黒画像は美しくない」「感情移入できなそう」などという偏見を持たずに観れば、気軽にお安く楽しめると思います。