ロマンシング・ストーン 秘宝の谷 Romancing The Stone (1984) ☆☆☆ | 映画の楽しさ2300通り

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ある映画好きからすべての映画好きへの恋文
Love Letters to all the Movie Lovers From a Movie Lover

これも「ロング・グッドバイ」同様、少し前に観直したのに書く暇がなかったくち。そして同じく、愛を再発見した作品です。
 
84年の映画ですから「レイダーズ」(81年)の成功にあやかって作られたのでしょう。後追いである分、スピルバーグ作品では到底なしえない分野、色恋に大きく踏み込んでいます。ヒロインは当時人気絶頂のキャスリーン・ターナー。対するマイケル・ダグラスは、「チャイナ・シンドローム」でのジェーン・フォンダの相手役のあと、「危険な情事」以前ですから売出し中だったのでしょう。それだけに切れるには切れるが粗暴でどこか抜けてる役がはまってました。
 
どちらかというとヒロインのほうが主人公なだけに、アクション・シーンなどは少しもたついた感じがあるとはいえ(「私はウォシャウスキー」を思い出します)、創作に没頭するうちに縁遠くなった売れっ子作家がタフな経験とスリリングな恋愛ですっかり魅力的になっていく展開が楽しく、またほんとに憎たらしい残忍な悪役の死に方が爽快(サイコキネシスで爆死した「フューリー」のジョン・カサヴェテスに次ぐあっぱれぶざまな死にざまでしょう。そういえばフューリーのヒーローはマイケルの親父カークでした)で、多少のあらは気になりませんでした。ダニー・デヴィートもこの後の作品より大人しめで好演でした。
 
この作品も続編「ナイルの宝石」ができましたが、主題歌は大ヒットしたものの残念ながら出来は今一つ。「レイダース」や「トゥームレイダー」、自分も大好きな「ハムナプトラ」のような人気を得ることはできませんでしたが、冒険活劇ならぬ冒険恋愛ものとしては、このジャンルで最強の映画だと思います。