インサイド・マン Inside Man ☆☆ | 映画の楽しさ2300通り

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ある映画好きからすべての映画好きへの恋文
Love Letters to all the Movie Lovers From a Movie Lover

スパイク・リーの「ドゥ・ザ・ライト・シング」でひとつの衝撃を受けた身としては、こういう映画もこういうタッチで作るんだと別種の感銘を受けました。人種(民族)の葛藤に関するエピソードを細かくはさみ込んだのは、いかにも彼らしいと思いましたが。

もともとはデンゼル・ワシントンとジョディ・フォスターの共演に惹かれて観たのです。ところが主役はどうみてもクライブ・オーウェンでした。マスクをしたシーンが多いものの、フォトジェニックな見せ場は美形の二人に任せ、見掛けを裏切るスマートな知能犯を好演しています。
対する二人ももちろんきれいなだけではなく、デンゼルの切れ者だがタフで大胆なヒーローぶりも、ジョディのシャープで人を喰ったワルさも、観ていて小気味良く、シナリオの良さを十二分に引き出した楽しい展開になっています。
シチュエーションから「狼たちの午後」を想起させます(そういうセリフもありました)が、事件後の顛末を平行して語るシナリオにより、安心して観られるのも好印象でした。

これでは続編を作りたくなるのももっとも。87分署のキャレラとデフマン(もっとずっと凶悪ですが)の確執のようなライバルリーを期待しますが、リーはさらによいシナリオでないと撮らないと言っているとか。安易な続編は本編の面白さもスポイルしかねないし、それはそうだと思います。ジョディの続投は危ぶまれているようですが、事件の大筋には関係なかったわけだから、ここは心機一転、別のキャラを持ってくる方が楽しそうです。続編が観たいと思う作品は珍しいので(「ダーティハリー」でもそうは思いませんでした。)、ちょっと期待しています。