新年第一作としてはちょっと地味なチョイスかなと思いましたがさにあらず。見応えも感動もある内容でいきなり「愛する映画」にランクインしました。
ストーリーはある意味シンプルでストレート。心を打つ話ですが、際立った特徴やひねりがあるわけではありません。評価も高かったようで、多くのレビューがアップされていますから、稚拙な文章で屋上屋を重ねる必要もないでしょう。
というわけで見どころをひとつ挙げるなら、登場人物たちの豊かな表情を余すことなく捉えた演出でしょうか。占領下の難しい時期における普通の市民たちの喜怒哀楽、諦め、そして勇気が、暗闇の中ではっきりとは見えなかった元祖ゾゾも含めたひとりひとりの表情に雄弁に語られ、感動的なレジスタンス秘話の厚みを増したと思います。
原作もベストセラーのようですが、話の面白さと感動的な内容（未読なので想像ですが）はそのままに、文章では表現しにくい役者の表情をいきいきとみせた演出に映画の醍醐味を感じました。