連邦生徒会長が言う、同じ状況とは何を指すのか | 墜落症候群

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墜ちていくというのは、とても怖くて暗いことのはずなのに、どこか愉しい。

 これを考えついたのはアニメブルアカ1話において、プロローグ部分の連邦生徒会長の語りにおいて、電車の向かい側に先生の姿がはっきりと描写されていることからだった。
 先生に語りかけているのだから当たり前のことなのだけれど、そのシーンとクロコによる襲撃シーンが続けて映されたことにより、時系列が意識されたのだ。
 プロローグの連邦生徒会長の語りは、最終編において再び挿入され、あたかも伏線回収のような雰囲気を出していたが、実際にはあれがどのようなシチュエーションであったのかは少しも明らかになっていない。
 連邦生徒会長は電車内で致命傷に近い傷を負っているように思える。アニメでは向かい側にいる先生は項垂れている。
 このシーンについては、クロコ世界線の出来事なのだと解釈できる。
 最終編においてはクロコ世界線の出来事を夢として垣間見ているので、それと同様なのだろう。
 クロコ世界線での先生のラストシーンは、クロコに襲撃されるシーンであるため、連邦生徒会長の語りはそれ以前のシーンであると思われる。
 そこで気になるのが連邦生徒会長の同じ状況、同じ選択というセリフである。
 連邦生徒会長がこのセリフを言った時に、クロコの襲撃は起こっていない。
 最終編において、同じ状況、同じ選択というのはプラナのセリフであり、具体的にはクロコを庇い、プレナパテスとなったことと、自分の転送枠を使い、クロコを地上に転送したことを指す。
 どちらも先生が自分の身を投げ出し、生徒を救おうとした場面となる。
 連邦生徒会長の語りのシーンではどちらも起こっていないにも関わらず、同じ状況、同じ選択という表現が使われる。
 これはゲーム的に同一表現を使っていることからも、連邦生徒会長の語りの前にも、クロコを救ったのと同じことが起こったのではないか。
 つまり、先生は連邦生徒会長をその身を挺して救おうとしたが、連邦生徒会長は致命傷を負ってしまったのではないかと、自分は考察する。
 そして、それがクロコ世界線での先生が重体になって目覚めないことと繋がっていくのではないか。
 もちろん、先生が重体となるのはシャーレでの事件の結果だから、電車のシーンと直列で繋がっているわけではないかもしれないが、関連性はあるのではないかと思っている。
 最近更新された対策委員会編第3章で、地下生活者によるシャーレへのダイレクトアタックがあり、これがクロコ世界線では先生への致命傷になったという意見もあるようだが、自分はまだ連邦生徒会の秘密金庫への襲撃がこちらの世界線では起こっていないので、違う出来事なのだと思っている。

 ただ、ざっくりクロコ世界線はバッドエンド世界線というようにまとめられているけれど、明確にメイン世界線と違う部分があって、それは連邦生徒会長と先生の関係性である。

 プロローグの語りから見ても、あの時点でクロコ世界線の先生と連邦生徒会長は、何度も面識があり、議論をしてその結論が異なったこともあるという関係性と思われる。
 しかし、メイン世界線では連邦生徒会長とはほぼ面識がないように描かれている。
 つまり、クロコ世界線とメイン世界線では連邦生徒会長の失踪の経緯が違うのだ。

クロコ世界線 連邦生徒会長と先生が会う → 連邦生徒会長と先生が議論をし、意見がすれ違う → 連邦生徒会長の電車での語り → 連邦生徒会長の失踪(恐らくヘイローの破壊) → シャーレでの事件で先生が重体に → クロコ襲撃、先生がプレナパテスに

メイン世界線 先生と会う前に連邦生徒会長が失踪、アロナと同一化

 連邦生徒会長について、突っ込んで考えたことはなかったが、クロコ世界線では先生と連邦生徒会長はバッドエンドを回避するために二人して奔走し(それこそホシノとユメ先輩のようなバディ関係だったかもしれない)、結果、連邦生徒会長は死亡し、先生はプレナパテスに至るような末期を迎えてしまう。
 クロコ世界線の連邦生徒会長は死ぬ前に何らかの手段で、別の世界線の先生にシャーレを託し、その世界線の自分をアロナと同一化することで失踪させたのかもしれない。
 とにかく最終編を経ても、この世界の核心である連邦生徒会長にはまだまだ明らかになっていないことが多い。
 最終編で多くの伏線を回収したこのお話には余白がちゃんと残されている。
 そう思うと、これからのブルアカも改めて楽しみに思えてきた。