ネットハイ 超絶に好みで熱い新規ゲーム | 墜落症候群

墜落症候群

墜ちていくというのは、とても怖くて暗いことのはずなのに、どこか愉しい。

ネットハイ
出品者:ウォーズ
価格: ¥ 5,180

2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 超絶に! 好み!! でした, 2016/6/1

レビュー対象商品: ネットハイ (Video Game)

 俺はネット中毒患者ですので、バッチリ作品の方向性と趣味の方向性がマッチしました。
 ニコニコ動画、ツイッター、ボーカロイド、炎上、ここら辺の事情を周知していると、より世界にハマれると思います。
 ただ、そういった要素に馴染みがないと楽しめないかというと、そんなことはないと思います。
『リア充の正体を暴いて爆発炎上』。
 確かにそう聞くと、陰湿・邪道なイメージが付きまとうかもしれません。
 しかし物語そのものは、超・王・道! と言っていいデキだと考えています。キャラデザが同じ人だからなのか(多分)、ちょっとテイストは違いますが、グレンラガンやキルラキルのように、根底には熱血系が流れていると思います。
 ネタ元と言われているダンガンロンパ・逆転裁判は基本『監禁状態でのバトルロワイヤル』、『殺人事件の裁判』と何だかんだでミステリや殺人が絡んできますが、この作品の基本は『人生』『人からの評価』だと思います。各々、自分を守りたかったり、評価を上げたかったりして、ネットのイメージを糊塗していく訳ですが(このゲーム世界内ではそれで現実の姿までも上塗りされてしまいます)、それが本当に幸せなのかと言うとそうじゃない、実は身近にいる人と心が通じ合うことの方が大事なんじゃないの? と素朴に問いかけるゲームです。主人公はドンドンフォロワーを増やしますが(億突破)、しかし、彼自身はずっとコンビニのフリーターです。しかしカッコいい。
 事件によって舞台を変えていく逆転裁判、仲間が減っていくダンガンロンパと違い、ネットハイでは調べる場所はずっと同じ街(非比谷)ですし、話すことの出来る仲間は進めるごとに増えていきます。ピクトグラムで表現されるキャラにも話数毎に流れていく人生があり、それもショートストーリーになっており、愛着が湧きます。この街そのものが馴染みの場所になっていく感覚です。
 仲間と協力し、そして相棒とタッグを組み、勝利を掴む。
 王道です。が、かつての小学生時代の親友と決着を付けることになってしまったり、目的を見失ってしまったり、相棒と離れ離れになったり、何だかんだで緩急が付いています。
 事件が比較的小規模だったり、終盤、驚きの展開はあったりするのですが、ダンガンロンパや逆転裁判よりも捻った展開はないかもしれません。また、ノリだけで解決してしまい、設定の練り込みが足りないと思われる箇所もあります。
 それでもこのゲームに、数度泣かされました。
 ちゃんと感情のムーヴを作ってくる作品はとても好印象です。
 人が次々と死んでいくような作品では、膝を打つことはあっても、感動はなかなか出来ませんし。
 暗くて複雑な作品が多い中で、あくまでもノリを重視し、感情を揺さぶられる勢いのある、ベタで王道なゲームです。
 消されてしまった女の子のために、世界や強敵と戦う主人公の物語です。彼一人だけでは少々頼りなさすぎるので、毒舌でポンコツなナビキャラも一緒に。
 ゲームの形式は、逆転裁判やダンガンロンパのオマージュが含まれますけれど、ゲームの雰囲気はグレンラガン・キルラキル(のネット風味)みたいな感じでしょうか。謎の勢いです。
 とても良く出来たストーリーゲーであり、なかなかいいキャラゲーです(それがメインでありアドベンチャーとしての難易度はあまり高くないです)。
 感情移入できるキャラがいっぱいいるので、活きのいいキャラが好きな人にもオススメ! 声優さんも熱演です!!
 この物語は世界の大きな構造の問題を解き明かす作品なのではなくて、あくまでボーイ・ミーツ・ガールであり、主人公やキャラクターの『人生』を語るゲームなのだと感じます。だから、スケールは小さくても、感情移入の度合いが違うのではないか、と考えています。





ネットハイ