ジョジョリオン第7巻Amazonレビュー。 | 墜落症候群

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墜ちていくというのは、とても怖くて暗いことのはずなのに、どこか愉しい。



Amazon:ジョジョリオン 7 (ジャンプコミックス)

ジョジョリオン 7 (ジャンプコミックス) [コミック]
荒木 飛呂彦 (著)
5つ星のうち 2.7 レビューをすべて見る (14件のカスタマーレビュー)
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商品の説明
内容紹介
東方家の地下室で、康穂を攻撃してきた「八木山夜露」と名乗る謎の男。定助の秘密を知っているという彼はいったい何者なのか? 一方、康穂の安否が気がかりな定助は、不審な行動を取るつるぎを問い質そうとするが…。


登録情報
コミック: 184ページ
出版社: 集英社 (2014/5/19)
言語: 日本語, 日本語
ISBN-10: 4088800877
ISBN-13: 978-4088800875
発売日: 2014/5/19
商品パッケージの寸法: 17.4 x 11.2 x 1.8 cm
おすすめ度: 5つ星のうち 2.7 レビューをすべて見る (14件のカスタマーレビュー)
Amazon ベストセラー商品ランキング:
2位 ─ 本 > コミック・ラノベ・BL > コミック

 ジョジョリオンというミステリ。
 ☆☆☆☆☆
 ジョジョという物語は、その部毎に、物語の全体的な目的が提示されることが多い気がしますが、この第8部は、主人公の正体は一体何なのか? ということから始まって、非常に漠然とした、抽象的な謎を追いかけています。
 例えば、前の部のスティール・ボール・ランでは、大きな軸として、部の名前にもなっている大陸横断レースがあり、そこに聖なる遺体に絡む陰謀もまた重なってきた感じで、物語としての方向性が、はっきり示されていたと思います。
 という訳で、この第8部に関しては、追う謎も、主人公の生い立ち、壁の目とは何なのか、あるいは、それぞれのキャラクターがどのような思惑で動いているのか? みたいなその人物の内面や、世界観、あるいはミステリにおけるホワイダニットっていうのかな……人物の思惑、そういった謎に迫っていくのが中心になっていると思います。次第に明らかになる事実が増えてきて、主人公が徐々に手探りで真実に迫っていく、という物語、僕は結構好きです。
 何ていうか、今、第三部が放映されたのもありまして、比較してしまって、ある大きな旅みたいな動きの中で、たくさんの能力者と対峙していくみたいなダイナミックなプロットでないと、物足りなくなる人もいるのかもしれませんが、僕はミステリ的、というか、舞台を小さく限定した上で、主人公の周囲の人たちの内面の謎に迫っていく構成にしたのは、それはそれで意図や意味があるんじゃないか、って思うんですよね。
 「たっぷり」みたいなどこか間の抜けた台詞も面白くて、喜んで読んでしまうのですが。
 という訳で、僕は、このジョジョリオンというのは「あえて」舞台を短く区切り、登場人物の範囲も狭めに限定して、それぞれの意図や自身の謎に迫っていくっていう部だと思ってるんですよ。これはミステリ的に感じていて、例えば、絶海の孤島モノとかだったら、周囲が嵐になり、自然と舞台や登場人物が限定されるじゃないですか。ミステリだったら、殺人が起きて、犯人がいて……というわかりやすさがあり、やはりジョジョリオンには、そうした明確な目的は見えにくいとは思いはしますが、まあ、とにかく言いたいのは、舞台の狭さや登場人物の少なさとかにも、きっと理由があるはずだと思うんです。
 そして、これはジョジョリオンという部の味であって、考えてみれば、これまでもジョジョというのは色々な部がありましたよね。
 それを、過去と比較して、「才能が衰えた」などという評価が書かれるのは、ちょっと見方が単純過ぎて、今のジョジョリオンも楽しんで読んでいる自分からすると、やっぱり憤りを覚えるんですよね。
 スタンド能力が複雑化してきたきらいは確かにありますが、やっぱり、これまでの部を通して読んでこなきゃ、一般人には敷居が高いかもしれない、「ジョジョらしさ」、追い詰められてそれを打破していく展開は健在だし……何だろうなあ、若さを失って、勢いがなくなった、というよりは円熟期に入って、若い頃の物語とは違う面白さ、味わいが出るようになった、と自分では捉えたいと思っております。
 クリエイターはその時その時で、自分が表現できる一番面白い創作を提示していると信じていますし、それ自体が大きな才能や努力の元にできていると感じますので、俺は過去と比較して批判するよりも、今のジョジョリオンを楽しみたいなあ、と、近視眼的と言われてしまうかもしれませんが、そう感じております。