以前、アカデミーデュヴァンの講義で「若いリースリングにペトロール香を感じるのは好ましく
ない」と教わりました。おそらくシャプティエの「リースリングのペトロール香は欠陥である」
という主張が元になっていたと思いますが、ブレタノマイセス(馬小屋臭)同様、ペトロール香
も醸造過程による何らかの失敗によるものだと言われています。

ゲベルツ等のテンペル系の香りと違って、ペトロール香は石油やキューピー人形のような
香りが特徴的ですが、香りの正体はトリメチルジヒドロナフタレン(TDN)という芳香成分
です。

今回、アニーズ・レインのリースリング2013をあけて検証してみましたが、白桃、洋梨、
花の香りの他に、TDNもしっかり感じられました。シャプティエの「それ、みたことか」という
声がきこえてきそうですが、そもそもオーストラリはワイン醸造技術において最先端の国。
そこでつくられたワインに欠陥があるとは、正直考えにくいです。本当にTDNは欠陥なので
しょうか。