第67章    同居 | 或る愛のうた~不倫、愛と憎しみの残骸たち~

或る愛のうた~不倫、愛と憎しみの残骸たち~

不倫、生と死を見つめる、本当にあった壮絶な話

その日はきっと、誰が想像したより早い時期に訪れた。

仁は小さなスポーツバッグに数日分の下着を入れて、千代の家へと転がり込んだ。

千代やALIに何の相談もなく、

ただ仁と雪枝の決定的な仲たがいという成り行きによって生まれた

ステップファミリー誕生の日。

千代は静かにALIに告げた。


    「今日からパパはこの家に住むのよ。

    朝も夜も、ずっと一緒にいるの、わかるわね?



それを聞いたALIは、愕然とした。

自分でも驚くことに

ALIは家族が増えることを全く嬉しいとは思わなかったのだ。

1日数時間で良かった緊張と我慢の時間がこれから果てしなく続き

母である千代にもう甘えられないのだという悲しい予感がALIの胸を突き刺した。



    「ALIはとてもいい子よ。

    ママは誰よりもそれをわかってる。

    パパに対してALIが我慢しているのもママは知ってるわ。」



だからと言って・・・

だからと言って、一緒に住みたくないという選択はALIには出来ない。

千代の心の声をALIはしっかり聞いた。


    
     「ALIはもう中学生だものね。

     パパとどうしたら仲良くやっていけるか、わかるわよね?」 





うん。

パパを一番に考えて、パパに媚を売って

かわいがられるように努力すればいいんだよね?

ずっと、そうやってきたんだから

一緒に住んだってちゃんとやっていけるよ。




ALIの心の声は千代に届いただろうか・・・?



これから始まる生活に不安を抱えたALIのかたわらでは、

何も知らない裸の王様が酒を浴びるように飲んだあと

ぐーぐーと大きないびきをかきながら、幸せそうに眠りこけていた。

あじさい

※いつも私のブログを気にかけてくださっているみなさま、ありがとうございます。
  当初よりコメント拒否のままブログを進めて参りましたが
思うところあってコメント欄を開放することにしました。
  私のブログや私の言葉で誰かを救えるなどと、そんな傲慢なことは思いません。
  ただ、ここに残してくださるあなたの言葉で光を見いだす方はいるかもしれない・・・
  以前あるブログのコメント欄で救われた自分を思い出したのです。
  よかったら、あなたの言葉を聞かせて下さい。