リチウム原子の観察に成功 | ALive8News

リチウム原子の観察に成功

<日経>◇リチウム原子の観察に成功、東工大など 電池の性能向上期待
 東京工業大学、日本電子、理化学研究所の研究グループはリチウムイオン電池の性能を決めるリチウム原子一つ一つを観察することに成功した。特殊な顕微鏡技術を駆使した。リチウムイオン電池は家電から自動車まで用途が拡大、性能向上へのニーズが高い。原子レベルでの動きを観察できるようになれば、最適な電極材料を効率よく探索する基盤技術として使えそうだ。
 東工大の高柳邦夫教授と大島義文助教らは、透過型電子顕微鏡(TEM)を使ってリチウムとバナジウム、酸素からなる電極材料を観察した。試料に電子を当てる角度などを工夫、0.8ナノ(ナノは10億分の1)メートルの間隔で2個のバナジウム原子が並び、その内側に2個の酸素原子、さらにその内側に大きさ0.25ナノメートルのリチウム原子2個が並んでいる様子が確認できた。改良すれば数秒ごとの変化もとらえられる見通しだという。
 リチウムは金属原子の中で最も小さく、最新の電子顕微鏡でも観察できなかった。新方法なら充放電の際にリチウムが電極材料にどのように出入りし、蓄積されるかといった電池の性能に直結する現象を把握でき、優れた材料開発に役立つ。
 電極材料の作製は経験に頼る部分が多く、実際に電池に組み込んで性能を評価しなければならず、開発に時間がかかった。