17日から書いてたのが、やっと終わった・・・。
子供が寝た合間に家事とか仕事して、その更に合間に妄想書いているという状況なんですけど、
困ったことに、ノリにのっている時に中断を余儀なくされたり、妄想でウハウハしてる時に限ってPC開けなくて、いざ書くときに台詞とかシチュとか細かい部分がすっ飛んでしまっていたりで、文章長くなった時は書いてる部分によってテンション違ってて、すごく大変。
でも、何とか書きたかったシーンまで書けたので満足です。
いろいろツッコミたいとことか、自分でもあったりするんですけど、しょせんただの妄想って事で、辻褄泡無くったっていいかなーとγ(▽´ )ツヾ( `▽)ゞ
バトルシーンとか超適当だけど、自己満の世界なので許したってください。
では、マジで、興味のある方のみ下方へ・・・。
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「・・・・・・ん、馬神弾」
名を呼ばれ、馬神弾は重い目蓋を開いた。
地球リセットの際の疲れがまだ完全には抜けきっておらず、常よりも眠りが深い。
「すまない、起こしてしまって」
起こしにきたのは、人類政府代表となっているカザンである。
「いや、いい。何かあったのか」
わざわざトップの人間が起こしにくる位だ。何も無いという方がおかしいだろう。それに、開かれた扉の向こうでは騒ぐ人々の声が聞こえてくる。
カザンの顔は僅かに硬い。
「本部内で爆発があった」
弾の目が胡乱げに細められた。
「襲撃か?」
確か弾のいない3年近くの間に、大分人類と魔族との間で友好関係が築かれていると聞く。それでも、やはり多少の軋轢はあるのだろうか。
しかしカザンは首を振る。
「いや、恐らく違うだろう」
「どうして分かる」
「確かに、未だ魔族との間に友好関係が完全に築けているとは言えない状況だ。だがこんな襲撃が出来るほどの強い勢力を持った組織は認識してはいない。何より、爆破対象が本部機能とは全く関係の無い場所だったからだ」
弾は首を捻った。
「一体どこを爆破されたんだ?」
その問いに、カザンは一瞬言葉に詰まった。言いにくそうに口を開く。
「ステラ博士の開発した、時を繋ぐ装置だ。覚えているか? お前達をこの未来に連れてきた装置だ。そして、兵堂くん達を過去に送り返した装置だ」
そして一度言葉を切り、頭を下げた。
「すまない。しばらく君を過去には帰してやれなくなった」
「・・・・・・・・・」
「勿論今ある装置が壊れても、一度作った装置だから時間は少し掛かるがまた作り直す事ができる。だから完全に過去に帰れなくなる訳じゃない。・・・だが、心配なのは」
「何の目的でその装置を壊したか」
弾の言葉に、カザンは重々しく頷いた。
「そうだ。ただの愉快犯の嫌がらせか、お前に過去に帰るとマズイ者がいるという事か。いずれにしても、馬神弾に関わる何かが目的、という考えが一番可能性が高い。気をつけるにこしたことは無い。お前は、良くも悪くも有名人だからな」
カザンの言葉に、弾は静かに苦笑する。
「だが、誤解しないで欲しい。この件の首謀者がどういう意図であれ、この世界の多くの人や魔族は君に感謝している。
君が覚えている時以上に、そして君が思っている以上に、この時代での馬神弾は英雄視されているんだ。君に悪意を抱いている者がいたとしても、ごく少数派の筈だ。それだけのことを、君はこの時代で成し遂げてくれた。
我々は、君に感謝してもし足りない。だから、必ずまた装置を完成させて、君を無事過去に送り返す。心配しないで欲しい」
「ああ。・・・・・・・・・ありがとう」
弾の礼を受け、カザンは頷き弾の部屋を出て行こうとした。そして不意に足を止め、振り返る。
「君は随分落ち着いているな。何か知っているのか?」
「いや? そう見えるか。これでも結構驚いてはいるんだがな」
「・・・そうか。・・・いや、気のせいだ。悪かった。こっちの事は気にせずゆっくり休んでくれ。まだ疲れが残っているだろう」
そう言って、今度こそカザンは出て行った。
弾は自分の顔を撫でる。そんなに落ち着いているように見えるだろうか。
過去へ戻る装置が爆破されたこと。それは確かに弾を驚かせた。
だが。
予感はあった。
弾はつと視線を、ベランダに続く窓に向けた。
「それで、お前はどっちなんだ?」
弾は起き上がり、窓の外へ出る。
「装置を爆破したのはお前だろう、バローネ?」
ベランダには、月光を背にしたバローネが立っていた。
月光のバローネとはよく言ったもので、月光の中に佇むバローネは恐ろしい程美しかった。
バローネが弾に近づく。
「弾。お前にバトルを申し込む」
「バトルなら、何もこんな真似しなくてもいつでも・・・」
「お前を過去に帰す気はない」
バローネは、弾のすぐ前まで近づいて弾の頬に手を伸ばす。
「俺が勝ったら、お前には俺のものになってもらう。過去には帰さない」
バローネの言葉と気迫に、弾は思わず息を飲み込んだ。やがて、フッと口元に笑みを浮かべる。
「俺が勝ったらどうするんだ?」
「俺は負けない」
「やってみなければ分からない。確実に勝つとは言い切れないから、あの装置を爆破したんじゃないのか?」
バローネがジロリと弾を睨む。どうやら痛いところを突いたらしい。
「それでも、負けない」
きっぱりと、しかし静かにそう言い切るバローネに、何か覚悟のようなものを感じた。
「いいだろう。勝負を受けるよ。だが、俺が勝った時は、俺の好きにさせてもらうぞ」
バローネは頷き、そして踵を返した。
「ソフィア号にお前のコアブリットを用意してある。バトルフィールドで待つ」
「ああ」
麗しのソフィア号にむかえば、そこにはクラッキー・レイが待っていた。
「まさか、お前も噛んでいるとはな」
弾が多少の呆れを覗かせながらも驚きの声を挙げれば、クラッキーは肩を竦めて言った。
「君がいなくなって3年もの間、バローネとは一緒にこの時代を立て直してきた、いわば盟友だからね。我が儘も言わず、寝る間も惜しんで働いてきた彼の願いとあらば、聞かない訳にはいかないでしょ」
「過去の仲間より今の盟友、か?」
「違うよ、そんなんじゃない。勿論まゐ達の事も大事だよ。バローネと比べるべくもなく。君の帰りを待っているだろう事も分かっているし、君が過去に帰る気だった事も知っている」
「だったら何故、こんな事に荷担してるんだ?」
クラッキーの行為に怒っている訳では無かった。過去から来た以上過去に帰るのは当然のことで、何が何でも帰りたいという理由があるわけでもない。
唯一あるとしたら、過去に帰ってしまった仲間には会いたかったし、心配しているなら無事を伝えたかったのだが、それも装置が完成すれば向こうがこちらに来ることも可能になるだろうし、必ずしも帰りたい理由にならない。
ただ、意外だったのだ。
「う~ん、強いて言うなら優先順位、かな。・・・といっても、さっきも言った通りバローネとまゐ達の仲間としての優先順位じゃないよ。そこは誤解しないでくれよ。僕が言っているのは、行動、というか想い? 簡単に言うなら、まゐ達が過去に帰ったから、かな」
「・・・・・・悪い、意味が分からない」
困惑する弾を、クラッキーが笑う。
「あはは、そうだね。まあそれについては勝負がついたら教えてあげるよ。勝敗がどっちでもね。誓って、バローネに協力するのはこれ1回だけ。君が勝って、過去に帰ると言ったらもう邪魔はしないし、バローネにも邪魔させない。それについては信用してくれていいよ」
一頻り笑って、クラッキーは画面を指差す。
「ほら、バローネはもう待っているよ。行って存分に戦ってくればいい。僕はここに残って、バトルに邪魔が入らないように監視する役目なんだ。バトルの様子も画面には映さない。完全に二人だけの世界だ。疑問、不満があるなら好きなだけバローネにぶつけてみればいいさ」
クラッキーの促しし、弾は頷いた。
「そうだな。そうさせてもらおう」
コアブリットでバトルフィールドに入る。デッキをセットし、スタート体勢を整えた。
先行は弾である。心を落ち着かせるように弾は息を吸い、「スタートステップ」といつものかけ声を挙げる。それと同時に、弾の意識は一気にバトルの世界に引きずり込まれた。
もはや十二宮xレアカードは無い。新たに構築したデッキである。
弾はブレイドラ。を召喚しながら、口を開いた。
「戻ってきてから、今のこの世界のこといろいろ教えてもらったよ。地球リセットを回避したといってもかなりのダメージを受けて殆ど廃墟になったと聞いていたけれど、今はもうそんな面影、殆ど無かった。随分頑張っていたみたいだな」
今度はバローネがエリマキリザードを召喚しながら、それに応じる。
「力を持つ者の責務だ。お前が俺にその事を教えたんだ」
バトルを進めながらも、二人は語り合う。お互い、根っからのカードバトラーである。バトルをしながらの方がより気持ちを理解しやすいのだ。
弾は、先のバローネの言葉を訂正する。
「違うさ。俺がいなくても、お前ならきっと同じように立ち上がっていた筈だ。お前は魔族を、この世界を見捨てられるような男じゃない。俺がしたのは、立ち上がるのを少し早めただけだ」
そんな弾の言葉に、バローネは口元を歪めて笑った。貴公子然としているバローネらしからぬ表情で、弾は驚いた。
「お前は俺を買い被っている。そんな立派なものじゃない。現に俺は、お前が消えたあの瞬間、世界を呪った」
「・・・・・・まさか。この世界を、そして魔族達を守るために先頭に立ってきたお前がか?」
「・・・俺も正直意外だった。魔族を、そして地球リセットを回避して世界を守る為に戦ってきたと信じていたんだ。だが、あの瞬間、それが間違いだった事を知った。俺はお前のゆく先へ共に行きたかっただけだったんだ」
バローネが神機グングニルを召喚し、弾のライフを削る。弾に伝わるバトルの衝撃。だが、それだけではない。バローネの苦しみのような感情まで弾に流れ込んでくる。
「お前と引き替えにするなら、世界など滅びてしまえ。本気でそう思ったんだ。それ程の衝撃だったんだ。・・・それでもあの時前に進む事が出来たのは、一重にお前の犠牲を無駄にしたくはなかったからだ。お前の期待を裏切りたくなかった・・・」
弾はバローネの痛い程真剣な眼差しを受け止める。
「何より、馬神弾。お前の帰還を諦めたくはなかったからだ」
それは、掛け値無しにバローネの本音だと感じ取ったからだ。
「ずっと待っていた。お前が戻ってくるのを。・・・・・・お前に分かるか? あの時の俺の、絶望に似た喪失感を。馬神弾という存在を無くすぐらいなら、まだ俺が引き金になった方がマシだった。何故あの時お前に勝てなかったのかと、何度自分を責めただろう」
弾はそれを否定するように、首を振った。
「俺が引き金になったのはある意味必然だ。結局のところ、この事態は過去に俺が異界王を倒したことに端をなしている。その責任を今になって果たしたというだけだ」
「そう。そしてその責任のために、お前は仲間も過去も未来も、誰顔想いさえも全て置き去りにして、他の誰かのために消えてしまえるんだ」
バローネの瞳に静かな炎が宿っているのを、弾は確かに感じた。怒りにも似た感情。
「それが許せない」
バローネの抑えられながらも肌を刺すように伝わってくる激情に押されたかのように、弾はよろめくように一歩、後退った。
「・・・バローネ」
自分の行動が、バローネにどれ程の影響を与えたのか。弾はあまりにも軽んじていたのかも知れない。
弾は普通の人間だった。特別バトルが上手いわけでも無かったし、家柄が特別だったということもない。前世を覚えていたりもしなければ、将来を期待されて育てられていたわけでもなかった。
ごく普通の子供だった自分が、たまたま連れて行かれた異世界で人間に酷い事されてる異界人に出会い、何とかしたくて戦い続けた結果が異界王とのバトルであったし、その時の弾の行動の結果の上にもたらされた責任を、この世界で果たすためにバトルをしていただけである。
バトルし続けた結果『激突王』などと呼ばれはしていても、それもたまたま自分が当事者だっただけで、あの時他の誰かが選ばれていたら、ただのバトスピ好きな普通の人生を歩んでいただろうと未だにそう思っている。
実物よりも噂が大きく語られるのは常で、実物の小さな自分がそこまで誰かに影響力を持つとは思いもしなかったのである。
それ故に、バローネの言葉は驚きと共に深く胸を穿つ。畳み掛けるようにカードを繰り出すバローネの猛攻を防ぎながらも、その言葉に耳を傾けた。
バローネはエンドステップに移行しながら弾に告げる。
「だから決めた。お前が戻ってきたら、二度とどこかに消えることは許さない。過去へも帰さない。当然、過去に帰った者になど、お前を渡すつもりもない」
静かに。しかし力強く、はっきりと。
「好きだ。馬神弾、お前を愛している」
長い沈黙の後、弾は息を吐くように呟いた。
「・・・・・・・・・二度目だな」
弾はまだ驚きの色を見せながらも、苦笑を浮かべた。
「バトル中に愛の告白を受けるのは二度目だよ」
弾の言葉に、バローネは一瞬視線を逸らした。
「知っている。紫乃宮まゐだろう」
「ああ。・・・考えてみればお前達は似ているかも知れないな」
弾の指摘に驚いたように動きが止まる。だがすぐに、納得したように小さく頷いた。
「気付かなかったが、確かにそうかも知れない。だから同じくお前に惹かれているのかも知れないな」
自嘲めいた口ぶりでそう言いながらも、それでもバローネに向けられた視線の強さは一瞬も弱まることはなかった。
「まゐには世話になった。だが、彼女であってもお前を譲る気は無い」
「俺の意見は聞かないのか?」
「聞いたら、お前は俺が好きだと答えると? 俺もさすがにそこまでは自惚れてはいないさ。それに、俺はお前がどんな答えを用意しようが、俺はお前を俺のものにすると決めたんだ。聞いても無駄だろう? イヤならバトルに勝ってから言え」
弾は呆れて口を開ける。そこまで望まれて、面映ゆい。
こんな我が儘な男だっただろうか?
記憶の中のバローネとのあまりの違いように驚きを隠せない。これもまた、自分がいなくなったことで生じた影響なのだろうか。
「・・・・・・随分と勝手だな。誇り高い月光のバローネが、心の伴わない相手を力ずくでものにして、良しとするのか?」
「勝手に消えたお前には言われたくはない」
そう、そっぽと向きながらも仕方ないとバローネは言葉を続ける。
「心が欲しくないとは言わない。だが、例えお前が俺を愛さなくとも、お前のいない世界を生きたこの3年の苦痛を思えば、それでもいい。傍に居てくれるだけで構わない。俺にとって、馬神弾とはそれだけの価値があるんだ」
激しい感情の吐露と共に召喚したのは、バローネのキースピリット月光龍ストライク・ジークヴルム。
「これで終わりだ、馬神弾! 逃げたければ逃げればいい。だが決して俺はお前を逃がさない」
バローネの熱い想いを感じならが、弾は静かにバトル終了の言葉を口にした。
「ライフで受ける」
「お疲れ。どっちが勝ったんだ?」
バトルを終えた弾を迎えたのは、ソフィア号で本部と格闘していたクラッキーである。
弾とバローネのバトルを知って、どういう事か、装置爆破と関係があるのかと、いろいろ問いただされ、叱責を受けていたみたいだが、妙に晴れ晴れとした顔をしていた。
弾はコアブリットのシートに体を預け、溜息を吐いた。
「俺の負けだよ。・・・3年の間に先を行かれたのか、12宮Xレアがなくなってデッキの練り直しが足りなかったのか・・・」
弾のぼやきに、クラッキーはクスリと笑った。
「それもあるとは思うけど、単純に、想いの差じゃないかな?」
「え?」
「君が好きで、だからこそ引き金を引こうとする君を止めようとしたまゐ君の想いが真剣じゃなかったという訳じゃないよ。だけどまゐ君の時は、君にもこの世界に対する責任や使命感があったじゃない? 負けられないって明確な理由があったよね。
けど、今回は違う。そんな理由は無い。
そんな君の想いと、絶対に君を離さないっていうバローネの想いとじゃ結構な差があったと思うよ。
・・・まあ、バトルにそんなロマンティックな部分があるとは限らないけれど、実力差のあまりない二人が戦う時に最後にものを言うのは、結局そういった真剣さとか一途な想いじゃないかなって俺は思ってる」
クラッキーの言葉を聞きながら、疲れた様子で弾はコアブリットから出る。コアブリットのヘリに腰掛け、真正面からクラッキーを見る。
「だから、バローネの味方をしたのか?」
クラッキーは静かに笑った。
「そういえば、戻ってきたら言うって事だったよね。・・・確かに、バローネの想いの強さを知って協力したっていうのは間違っちゃいないよ。でもね、僕はまゐが君の事を好きなのも知っている。君が知るずっと前からね。だからもし、まゐがこの時代で君を待っていたというなら、どちらの味方もしなかったと思う。・・・いや、もしかしたらまゐの味方をしていたかも知れない」
弾は首を傾げた。
「つまりクラッキーは、まゐが過去に帰ったから、バローネの味方をしたという事か?」
「そう。・・・厳密に言うなら、2010年8月30日を最後に過去の世界で君の消息は途絶えているという碑が残されているにも関わらず、過去に戻るという選択をした彼らより、バローネを優先した、という事かな」
「・・・?」
「だって、君は過去の世界でも有名人だよ。そんな君が過去に戻ったとして、消息不明なんていう碑が出る訳がない。高い確率で君は過去に戻ってはいないんだ。
だけど彼らは過去に戻った。君が戻らない可能性が高い過去に。それは、君の生存をどこかで諦めたという事に繋がらないかい? 無意識員せよ、弾より自分を、より優先的に選択したんだ。
勿論、帰ったことが悪いとは言わない。彼らは過去から来て、たまたまバローネはこの時代の存在で、お互いいるべき場所に居ただけということなのかも知れない。
みんなが君の生存を信じ、案じているのは勿論疑ってはいないよ。けど、この時代で待つ事を選択せずに、過去に帰ってしまったみんなより、君を手に入れるためにこんな暴走を決意したバローネを、一度くらい優先的に応援してもバチは当たらないかなって思ったのさ」
「・・・・・・俺とバローネが男同士でも、か?」
クラッキーは肩を竦めた。
「弾。光の・・・、いや、愛の貴公子として言わせてもらうなら、真の愛にそんな事は些細な問題だと思うよ」
一気に胡散臭くなって、弾は肩を落とした。クラッキーは一頻り笑い飛ばした後、表情を消した。
「弾。バローネの元へ行くのはイヤだったかい?逃げるなら手伝うよ」
弾は顔を上げてクラッキーを見る。真剣な眼差しに本気で言っているのを察した。
「・・・・・・お前はバローネの味方なんじゃないのか?」
「言っただろ。この件に関してバローネに協力するのは、一回だけ。僕の役目は君とのバトルのお膳立てをすること。それはもう終わっただろ。ここからは、君の親友としての行動を優先するよ。信じて貰えないかも知れないけれど、僕の第一優先は君なんだよ」
弾は首を振った。
「いや、信じるよ」
ずっと一緒に戦ってきたのだ。クラッキーの言葉が嘘かどうかはすぐに分かる。
弾の信頼を受けて、クラッキーは照れたように顔を赤らめた。そんな顔を知られたくなくて僅かに顔を背けながらも再度問う。
「バローネの告白はイヤだったかい?」
弾はしばらく考えてみて、ゆっくり首を振った。
「・・・言われてみれば、イヤだとは感じなかったな。普通に、嬉しかったかも」
「けど、それが恋かと聞かれれば」
「ああ。正直よく分からない。ずっと戦いばかりで、そんな事を考えている余裕は無かったしな」
「そうだよね。ただでさえ鈍いし、君」
暗に責められているように感じ、弾は不満そうに口を尖らしたが、確かにクラッキーの言う通りで言い返せない。
「だったら、分かるまで一緒にいればいい」
そう言ったのは、バトルを終え弾を迎えにきたバローネだった。
「迎えに来た。来い、弾」
差し出された手。弾を捕らえて放さない視線。
「どうする、弾?」
弾はゆっくり立ち上がり、バローネの元に足を踏み出した。顔だけクラッキーに振り返り、告げる。
「行くよ、俺。バローネのとこへ」
「・・・いいのかい?」
弾は頷く。
「ああ。恋かは知らないけど、俺もバローネには惹かれてる・・・と思う。月光のバローネにここまで求められて、やっぱり嬉しいって思うんだよ。バトルに負けたってのもあるし、こんなおかしなバローネを放っておけないだろ」
弾の言葉に、バローネは綺麗な顔を僅かに顰めた。おかしなと言われたのか気に障ったのかも知れない。
「そうかい。僕としても君がこの時代に残ってくれるのは大歓迎だ。君がそれでいいなら、応援するよ」
「ただ、みんなには俺が無事って事は、伝えておいて欲しい。・・・・・・いや、違うな。俺が言わないとダメだな」
弾の言葉に、クラッキーは頷いた。
「オーケー。最低でも通信システムが治ったら君に真っ先に連絡するよ」
「ありがとう」
礼を言う弾の腕をバローネが握り、腕の中に引き込む。
「忘れるな、弾。俺は相手が誰でもお前は渡さない。過去には帰さない」
直接話すと言った事が引っかかっているのだろうか。どこか必死なバローネの背を落ち着かせるように叩いた。
「お前と行く。そう言っただろう? これでも一大決心したんだ。信じろよ」
「・・・・・・そうだな、お前は嘘は言わない。お前は俺のものだ」
『俺のもの』呼ばわりされるのには抵抗があったが、バローネの端整な顔が近づいてきて唇を塞いだ時にはそんな抵抗も吹き飛んでいた。
「好きだ、馬神弾」
目の前でキスシーンを披露する二人に、クラッキーがぼやいた。
「完全に僕の存在忘れてるよね? いいけどさ」