- とある飛空士への恋歌 (ガガガ文庫)/犬村 小六
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内容(「BOOK」データベースより)
「これはきれいに飾り立てられた追放劇だ」数万人もの市民に見送られ、盛大な出帆式典により旅立ちの時をむかえた空飛ぶ島、イスラ。空の果てを見つけるため―その華やかな目的とは裏腹に、これは故郷に戻れる保証のない、あてのない旅。式典を横目に飛空機エル・アルコンを操縦するカルエルは、6年前の「風の革命」によりすべてを失った元皇子。彼の目線は、イスラ管区長となった「風の革命」の旗印、ニナ・ヴィエントに憎しみを持ってむけられていた…。『とある飛空士への追憶』の世界を舞台に、恋と空戦の物語再び。
最初、大瀑布(はての見えない巨大な滝)の果てを見付けるために、空飛ぶ島イスラに乗り、いつ帰れるか分からない、もしかしたら永遠に戻って来られないかも知れない旅に出るという設定を冒頭で読んで、
・・・・・・マクロス?
と思いました(笑)
前作『とある飛空士への追憶』と同じ世界といっても、少なくともこの巻では殆ど別の物語です。
国も違うし、登場人物も違う。
ただ、大瀑布という大きな滝があるという特殊な地形のある世界というのが共通しているだけですので、切り離して考えるようにしました。
今回の話は、バレステロス皇国という国が舞台なのですが、モデルがフランス革命時のフランスでしょうか。
何不自由なく暮らしていた皇子カルロは、突然革命という名の暴動に襲われ、父である皇王と母である皇妃マリアと共に捕らわれ、た。その後父母は断頭台で処刑され、カルロは悪徳高利貸しへ引き取られることに。
革命指導者の真の意向は、子どもを断頭台に送るのは体裁が悪いので、町で勝手に死んで欲しいというものだった。
その事を不憫に思ったミハエルは、カルロを半ば強引に引き取り養子として育てることに。
革命で皇王夫妻を天に召したギロチンはその後も政争などで休むことなく使われ、恐怖政治となっていた。
その事から、王政復活を目論む者も現れ、皇子の存在がバレると困ったことになるから、イスラに乗って旅に出て欲しいと言われ、カルロ(偽名でカルエル)は義妹アリエルと共にイスラで飛空士になる学校へ通い出す。
ある日カルロはイスラで一人の少女クレアと仲良くなった。しかしカルエルは、クレアが両親を断頭台へ送った革命派の旗頭、もっとも憎んで復讐を誓っているニナ・ヴィエントと同一人物だとは気付かずにいた・・・・・・
という、加害・被害の間柄の恋話?の様相ですね。
少なくとも今のところは。
というのも、続いているので。
いや、面白かったです。
カルロと母マリアとの別れのシーンは、思わずジンときましたし。
ああ、でもマリアさんは生きていて欲しかったですね。
結局処刑されちゃったのは、やっぱりマリーアントワネットにならったのでしょうか。
読み進めていく上で、ミハエルさんの家族(娘三人、妻死亡)の大らかさにビックリ。
圧政されていたというわりには荒んでいなく健全だったので、もしかして都から外れるとそこまでひどくなかったのかな?みたいな。
カルロとクレアが出会ったところで終わっていたので、今後がすごく気になります。
今回は主にカルロの過去編のようなものですので、本編はこれから。
楽しみです。