『とある飛空士への追憶』を読みました。 | ヲタのち腐。時々雑談。所により妄想

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とある飛空士への追憶 (ガガガ文庫 い)/犬村 小六
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内容紹介
「美姫を守って単機敵中翔破、1万2千キロ。やれるかね?」レヴァーム皇国の傭兵飛空士シャルルは、そのあまりに荒唐無稽な指令に我が耳を疑う。
次期皇妃ファナは「光芒五里に及ぶ」美しさの少女。そのファナと自分のごとき流れ者が、ふたりきりで海上翔破の旅に出る!?
...圧倒的攻撃力の敵国戦闘機群がシャルルとファナのちいさな複座式水上偵察機サンタ・クルスに襲いかかる! 蒼天に積乱雲がたちのぼる夏の洋上にきらめいた、恋と空戦の物語。



レヴァーム皇国と帝政天ツ上という国が長い戦争をしているという世界。

レヴァーム皇国は以前は天ツ上より栄えており、文明も技術力も劣っていた天ツ上の人間を見下していたが、60年ほどの間に技術力で追い越され、劣勢に立っていた。

そんな中、天ツ上領内にありながらも、まだかろうじてレヴァーム自治区となっているサン・マルティアでは、実質的に統治していた公爵ディエゴ・デル・モラルの館が天ツ上軍に襲われた。

公爵は殺されたが、唯一一人娘だけはかろうじて逃げ延びた。

その娘こそが、レヴァーム皇国皇子カルロの許嫁、ファナであった。

一人、陸の孤島に残された形となったファナをレヴァーム皇国へ連れ戻すため、レヴァーム軍傭兵として生きていた、最下層の身分である狩野シャルルが、エースとしての腕を買われて任につく。

シャルルにとってファナは、子どもの頃唯一優しくしてくれたレヴァーム人であった。そのこともあり、命がけでファナを国に戻すために単機空を翔るが、シャルル達の作戦は天ツ上には筒抜けで、その上戦闘機に差がありすぎた。

そんな悪行程の中、二人は次第に想いを通わせていく・・・・・・



みたいな話ですが。


まあネタバレ考慮しないで書きますが







悲恋ですね。



レヴァーム皇国は階級制度がしっかりしているようで、自分より身分の低いものは虫けらみたいなそんな感じです。

で、シャルルはレヴァーム人と天ツ上人のハーフ(作中ではベスタドと呼ぶ)ということで、子どもの頃から蔑まれる対象。その上住所を持たない流民という、最下層の身分だったので、誰かから優しくされたことが殆ど無いという人。

唯一自由にできるのが空の上みたいな理由で軍にいるのだが、天ツ上との戦闘機の性能の差はどうしようもなく、でも仕事を辞めても身分が低いからろくに仕事も無いし、死んだら死んだでいっか・・・みたいなところがあります。


それが、ファナという命を背中に背負って奮闘するわけですけれども。



ファナの変容ぶりにちょっとビックリです。


人形のようだったのに、実は元気いっぱいの可愛らしい女の子。

その変容ぶりの描き方はさりげなくて好きでした。


空戦はよく分からないのですが、結構素人でも楽しめるんじゃないかな?

私は面白かったです。



最後は立場もあり別れてしまうのだけど、将来ファナが『西海の聖母』と呼ばれる皇妃になるそうなので、いつかその辺りも書いてくれればなぁと思う反面、やっぱり二人は将来でも結ばれなかったんだなぁとも思ったり。


ローマの休日風かな。



全体的な感想としましては、結構早くに波に乗れて、一気に読めて面白かったです。

さすがは、このライトノベルがすごい2009で10位にランクインした作品ですね。

漫画も9月から始まったらしいのですが、もしかしたら人物の心理状況が読める分小説の方が面白いかも?