第二次世界大戦後、アメリカの統治下にあった琉球では三社の民営会社が煙草の製造販売を行っていました。１９５７年に設立された【沖縄煙草産業株式会社】は、会社設立前は輸入業者【池宮商会】でした。
三社の琉球民営煙草会社が、安定的に煙草を供給する１９５８年から１９７２年の復帰を迎えるまでに、【沖縄煙草産業株式会社】では四種類のアメリカ煙草を自社製品として販売していました。
１９５０年代の≪ドミノ≫≪ターバン≫≪ツーライオン≫と、１９６０年代の≪ホリディ≫の四種類です
前回まで二回にわたってご紹介した≪ドミノ≫≪ターバン≫の二種類は、【池宮商会】の時代に輸入していた製品を【沖縄煙草産業株式会社】設立後には、自社製品として販売していました。
今回ご紹介する≪ツーライオン≫も、【沖縄煙草産業株式会社】が自社製品として販売しています。
しかし民営煙草会社設立前の輸入煙草の時代には、【池宮商会】ではなく別の会社が輸入した商品でした。
これは当時の新聞広告によって分かりました。広告では輸入元として【笠井商事】の名前が書かれています。この業者は、他にもアメリカ煙草≪アリゲーター≫を輸入販売していました。
この輸入時代に≪ツーライオン≫の人気が高かったので【沖縄煙草産業株式会社】が製造販売に踏み切ったのだと思います。
〔輸正ー３〕
琉球政府の納税証紙として使用された封緘紙
新聞に掲載された広告
掲載誌は書いていませんが沖縄タイムスだと思います。
１９５６年１月１５日
輸入元が【笠井商事】と書かれています。
この【笠井商事】は、アメリカの人気銘柄≪アリゲーター≫の輸入元でもあります。
【沖縄煙草産業株式会社】設立後に販売された製品
１９５８年１１月 発売
これはごく短期間の販売で、年が明けると早くもフィルターチップロングサイズに変更されます。
両サイドに自社名がアルファベットで書かれています。
↓ ↓
【琉球煙草株式会社】は戦前の専売局の局員が中心となって設立されました。【オリエンタル煙草株式会社】も琉球煙草株式会社に次ぐ規模の会社でした。復帰後はこの二社の従業員は専売公社に吸収されているようです。
一方【沖縄煙草産業株式会社】はもともと輸入煙草業者です。現在も見られ、復帰後は再び商社として独立の道を歩んだものと思われます。復帰前の島内における煙草シェアーも平均すると１２％程度で規模の小さな会社でした。
以前、沖縄煙草産業株式会社の初期銘柄をご紹介しています。宜しかったらご参照ください。
国立国会図書館のほか、東京都立図書館、沖縄県立図書館にてご覧になれます。