戦後、アメリカの統治下にあった沖縄で1972年5月の復帰まで、煙草の製造販売を行っていた4社の民営煙草会社を順番にご紹介しています。
 
今回は最後に設立された会社です。社名は沖縄煙草産業株式会社、1957年8月20日に設立されています。4社の中では、最も規模の小さな会社でした。
 
設立者はもともとアメリカ煙草の輸入販売を行っていた業者です。島内煙草の保護育成に力を入れていた琉球政府は、輸入煙草の関税を段階的に引き上げていて、輸入煙草は税制面で不利となったため製造会社に転身しています。
 
1950年代に乱立していた輸入煙草の代理店は、島内に設立された民営煙草会社三社の販売代理店にそれぞれ転身しています。因みに最初にご紹介する≪ツーライオン≫は【笠井商事】と言う輸入代理店が輸入していました。
 
初期には、輸入煙草の時代に人気の高かったアメリカ煙草と同じ銘柄も製造しています。パッケージは島内で印刷されました。
 
これまでご紹介した他の二社では、1960年頃より銘柄を整理して数種類の銘柄を売り込んでいましたが、規模の小さかったこの会社では目先の変わった新銘柄が次々と販売されていたので、煙草の種類は最も多くなっています。
 
琉球煙草の世界がバラエティに富んでいてとても興味深い世界となった要因の一つに、沖縄煙草産業株式会社の銘柄の豊富さがあげられると思います。
 
 
 
          煙草№ OK1     両切りレギュラーサイズ
                     発売日=1957年9月
 
                     オアシス
             沖縄煙草産業の記念すべき第一号製品です。
 
 
 
 
 
 
 
             煙草№ OK2     両切りレギュラーサイズ
             発売日=1957年9月発売  
                    クィーン
 
 
オアシスとほぼ同時期に販売を開始しました。1963年3月、本土向けに輸出されています。これは日本専売公社へ向けて輸出された製品で、本土で販売されたパッケージです。
 
 
 
 
 
 
 
続く銘柄はアメリカ製品です。葉煙草はアメリカからの輸入ですが、パッケージは島内で印刷し島内製品として販売されました。
 
この時代、島内に葉煙草の生産者はまだ少なく、各社とも葉煙草は輸入品が大半を占めていました。葉煙草の島内生産は1959年ごろに出揃い生産量が一定となります。
 
 
 
            参考までに輸入煙草の時代の製品をご紹介します。
            封緘紙は琉球政府の納税証紙です。
 
 
           ツーライオン         アメリカ製品
 
この銘柄は輸入代理店である【笠井商事】の輸入品で、沖縄煙草産業株式会社の前身である【池宮商会】の輸入品ではありません。
 
 
 
 
 
 
 
 
           サイドに社名を英字で印刷し、島内製品として販売
 
           煙草№ OK3   両切りレギュラーサイズ
           発売日=1958年11月    
  
                   ツーライオン
 
 
 
 
 
 
 
          煙草№ OK4      フィルターチップ ロングサイズ
          1959年頃より販売              

 

                    ツーライオン
 
 
       1959年ごろ、フィルターチップに変更されて販売が続きました。
 
 
 
 
 
続く銘柄もアメリカ製品です。参考に輸入時代のパッケージをご紹介します。封緘紙は同じ琉球政府の納税証紙です。因みにこの証紙はおよそ20種類程度用意されていたようです。
 
 
     沖縄煙草産業株式会社の前身である池宮商会の輸入品    アメリカ製品
 
 
 
 
 
 
 
 
           サイドに社名を英字で印刷し、島内製品として販売
 
           煙草№ OK5    両切りレギュラーサイズ
           発売日=1958年11月 
     
                    ターバン
 
 
 
 
 
 
 
同じく1959年ごろ、同じパッケージでフィルターチップとなりますが、その後ごく短期間だけ地色がピンク色に変更されました。間もなく元の白地に戻されていて、現存数が少ないようなのでこちらをご紹介します。
 
            煙草№ OK7      フィルターチップロングサイズ    
            発売日不明 
      
                     ターバン
 
 
 
ターバンは長期間販売されていて、最後にはサイドの社名が英字と漢字で表記されています。ほぼ同じデザインなので割愛します。
 
 
 
 
 
 
 
 
           煙草№ OK9      両切りレギュラーサイズ
           発売日=1959年4月発売  
     
                    オリオン
 
 
沖縄煙草産業最後の両切り煙草です。間もなくフィルター付きの時代となりますので、製造は短期間で現存数の少ないパッケージです。1967年にフィルター付きのオリオンがデザインを一新して再販売されています。
 
 
 
 
 
 
 
フィルターチップの第一号製品です。当初キングサイズでしたが、間もなくロングサイズに変更されています。展示はロングサイズの製品です。キングサイズの登場は1959年9月でした。
                   
            煙草№ OK14     フィルターチップロングサイズ 
        
                     ビクトリー
 
 
 
 
 
 
 
さて、これまで各社で販売されていた免税煙草をそれぞれの会社のページでご紹介しています。沖縄煙草産業にも免税煙草があります。これは島内産の葉煙草を100%使用した製品に対する免税措置で、1960年までの適用です。
 
こちらはU字Ⅱ型包装ですが、スタンダード型包装も確認しています。それは未使用でしたので実際に使用されていたのかは不明です。パッケージだけが印刷されていた事例はいくつか見られます。
 
           煙草№ OK15     フィルターチップロングサイズ
           発売日=1959年11月  
   
                     ヨット
 
 
       残念ながら証紙はありません。いずれ証紙を纏めてご紹介します。
 
 
 
 
 
 
 
 
                   琉球民営煙草デザイン
 
ご紹介している資料の詳細は《琉球民営煙草デザイン》にてご確認いただけます。手前みそ乍ら、
小生の纏めました資料です。宜しかったらご覧ください。
 
これらのパッケージは、多くの民営会社のパッケージとともに、いずれもデザイン集の作成の為にと貰ったものですが、ひとつの時代を物語る貴重な資料です。
 
 
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     国立国会図書館のほか、東京都立図書館、沖縄県立図書館にてご覧になれます。
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