ただ不安だったのは例えレモンが目の前に現れたとしても捕獲が出来ないであろうことでした 

入間の子達は今でこそ譲渡先でまるで初めからそのお宅にいたような顔をしてすっかり懐っこい

犬になっていたり まだまだビビリの子でも随分と穏やかな表情になっていたりしていますが当

時はまるで野犬のようでした 人を怖がるので全く動けない すぐに暗い場所や狭い場所を見つ

けて入り込んでしまうその割りに車は怖がらないので危なくて仕方がない 加減もなくやたらと

吠える そんな様子だった子達は今では可愛いプリンスやプリンセスになってしまいました

他の子達はこんなに幸せになっています

ただただレモンだけが心残りの入間の現場です 

とても辛いのは金木が預かっているキャンディーが変わっていく姿を見ることです

家の中で紐をつけられずに自由に歩き回っている姿。

もう泥の上ではなく家族と同じこの床を当然のように歩いている事。

ご飯の美味しさが分り出てくる物は何でも美味しい物とわかった事。

食事の準備をし始めると待ちきれなくて踊るように跳ねるように催促をするようになった事。

シャンプーをしてもらうと喜んでやはり飛び跳ねる姿。

まるで別の犬のようになった美しい毛並み。

撫でてもらう事や甘えるのが好きになった事。

金木が帰宅をしたらやはり飛んで跳ねて喜ぶ事。

本当はレモンだってすでにこうなっていたはず・・・

残りの子達は助けられました・・・だからと言ってレモンの犠牲を許せないのです

レモンは一匹だけしかいないのですから・・・ 辛いです とても辛いです

まだまだ諦めてはいません。