「るぅちゃん名義の預金口座を作ってあげよう」と、ある日夫が言い出しました。
るぅちゃん名義の預金口座……
いやいや、それは無理でしょう。
今の時代、銀行は口座開設の際に身分証の提示を求めますから、るぅちゃんの名前で口座など開けるはずがありません。
そもそも、そんなものを開いてどうしようというのでしょうか。
「るぅちゃんの口座にあるお金は、るぅちゃんの好きなものを買っていいことにする」
そんな夫の説明も、まったく意味が分かりません。
夫は、るぅちゃんの名前で口座を開ける銀行を探すを言っていましたが、そんなもの見つかりはしないでしょう。
「ルビィ」
そんな口座の開設が可能なら、世の中、架空口座が開き放題ですよ。
と、思いきや!
なんと作れました。
口座名: ルビィ
あるネット銀行で開設できました。
もっとも、口座のオーナーはあくまでも夫で、用途ごとに口座名をつけられる、というものなのですが。
とにかく夫は、るぅちゃんの名前の口座を開くことに成功したのです。
そうして、毎月決まった額を振り込んでいくつもりなのだそうです。
1月になって、その口座をのぞいてみたら……
毎月のおこづかいとは別に、「お年玉・3000円」が振り込まれていました。
えっ、犬にもお年玉をあげるの!?
あんぐりとしている私に、夫は「ayaは、るぅちゃんにお年玉あげないの?」と詰め寄ってきました。
「あー、そうねー」と適当に流していましたが、何度も言うので、仕方ないのでバカバカしく思いつつも付き合ってあげることにしました。
振り込みました、「お年玉・30円」。
夫: 「るぅちゃん! ayaは、るぅちゃんにお年玉30円しかくれないんだって。ケチだね~」
夫はそう言っていましたが、きっとるぅちゃんから見たら、紙3枚とコイン3枚、どっちも同じ価値ですよ。
いや、むしろ……
るぅちゃん: 「コインの方が噛みごたえがあっていいでち」
でちよねー!