「ケイコ、目を澄ませて」

 

主演は愛がなんだの岸井ゆきの。第46回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を獲得、「ベルリン国際映画祭」を初めその年の世界各国の映画祭で受賞。評判の高い映画だったので、ずっと気になっていましたが、ようやく観る事が出来ました。ただ決してエンタメ系映画ではなく、ケイコのジムでの練習や試合を淡々と描いているだけなので、好き嫌いの別れる映画かもしれません。

 

聴覚障害のある実在のボクサー・小笠原恵子さんの著書「負けないで!」が原作です。生まれつきの聴覚障害なので、ケイコこと岸井ゆきのは、ひとことも発しません。ですがその鋭い挑戦的な眼光が、彼女のプロボクサーであり続ける事への迷いや怒り、憤り・・・すべてを雄弁に物語っていました。下町のボクシングジムの会長の三浦友和と、その補佐の林こと三浦誠巳が、なんともいい味だしてます。


動画配信の映画(家で見る映画)って、忘れるのも早いものだけど、この映画は、岸井ゆきのの演技と相まって、とても印象強く心に残った一本になりました。

 

「ホテルローヤル」

直木賞を受賞した桜木紫乃の原作は読んでいませんが、北海道の釧路湿原に立つ裏寂れたラブホテルにやって来る訳あり客たちの連作短編からなる小説のようです。なんとなく観始めましたが、主演の波瑠を初め、安田顕、松山ケンイチ、余貴美子など、脇役陣もなかなかよく、面白かったです。

美大受験に失敗して、実家のラブホを手伝う事になった雅代こと波瑠の、なんとなく鬱屈した感じがよく出てて、そこへラブホへやって来る客たちの悲喜こもごもが描かれて・・・。先生と教え子の女子高生(岡山天音と伊藤沙莉)の心中事件から後のドタバタ、アダルトグッズ業者への密かな思いなど、波瑠のイメージがちょっと変わりました。

 

「さかなのこ」

よくテレビでも活躍しているさかなくん「ぎょぎょ!」がトレードマークです。そのさかなクンを女優ののんが演じると訊いてびっくりしたものでした。でしたが第46回日本アカデミー賞の5人の優秀女優賞のうちの一人に選ばれてので二度びっくりしました。他の四人は「ケイコ、目を澄ませて」の岸井ゆきの、「流浪の月」の広瀬すず、「PLAN75」の賠償千恵子、「ハケンアニメ」の吉川里穂で、最優秀賞は「ケイコ、目を澄ませて」の岸井ゆきのが受賞しています。私はこの五本とも全部観ています。アカデミー賞的的には、「ある男」の一人勝ちだったと記憶してます。

 

のんの一風かわった立ち位置の女優という事が、今回は功を奏したのかもしれせん。ほとんどと言っていいほど違和感はありませんでした。天真爛漫でちょっと変わっていて・・・、でも母親だけは、究極の愛でさかなくんの背中を押してあげるのです。こうして普通なら異端児扱いされるさかなくんが、テレビ番組をもったり、大学の助教授?になったりと、「好きな事」を生涯の仕事にしていけるって、本当に幸せな事なんですよね。