「パワー・オブ・ザ・ドッグ」

あのイギリスBBCドラマ「シャーロック」のホームズ役で有名なベネディクト・カンバーバッチ主演の「パワー・オブ・ザ・ドッグ」。1920年代のアメリカ西部、カンバーバッチ演じる粗野で凶暴な兄と穏やかな弟が経営する牧場を舞台に起こる悲劇。第94回アカデミー賞に主要11部門でノミネートされた作品。女性監督ジェーン・カンピオンが最優秀監督賞を受賞したNetflixのオリジナル作品。

 

西部の荒涼とした風景の美しさや、ホモセクシャルな要素など、あの「ブロークバックマウンテン」を彷彿とさせられました。カウボーイたちが集団で暮らすむさくるしい牧場、弟ジョージは ピーターという息子がいる未亡人ローズと結婚したことから、牧場は風雲急を告げ・・・。

 

アカデミー賞を受賞しただけあって、何となく観始めたもののすぐに映画の世界に引き込まれました。粗野な兄フィルと温厚な弟ジョージ、精神的に不安定な再婚したローズと、美しい青年のピーター。男らしさと裏返しのフィルの本性が次第に暴かれ、アル中になって行く母を心配するピーターが最後にしたことは・・・。ミステリー仕立てでもあり、見応えのある映画でした。 

 

 「TAR」

 

ケイト・ブランシェットを主演に、天才的な才能を持った女性指揮者の苦悩を描いたドラマ。第95回(2023年)アカデミー賞主演女優賞ノミネート作品。最初この映画は、実話を元にして映画なのかと思っていましたが違ったようです。ドイツの有名オーケストラで、女性としてはじめて首席指揮者に任命されたリディア・ター。ベルリンフィルの首席指揮者にまで上り詰めたターが、自身は同性愛者だったり、その傲慢さゆえに、お気に入りの若手奏者を首席奏者に抜擢したり、指導下の音楽家へのパワハラなどやりたい放題。そんな傲慢なターが転落するまでを描いて、各映画祭で主演女優賞を獲得したケイト・ブランシェットの演技が秀逸でした。

 

「チェコ・スワン」

60分ほどのドキュメントタリーショートムービー。チェコの片田舎で、ダンス同好会の老婦人たちの「白鳥の湖」を踊るという夢をかなえるまでのストーリーです。いつもは、民族衣装に身を包み、ポルカなどの民族舞踏を踊る彼女たち。おいしものを持ち寄って開くダンスショーを観にやって来るのは車椅子の高齢者たちばかり。そんな彼女たちが、小太りの体をスワンのバレエ衣装に身を包み、精いっぱい「白鳥の湖」を踊るのですが、う~んかなり微妙というか、彼女たちの夢へかける想いが、いまひとつ伝わった来なくて残念でした。