捕り物帖というよりは、北町奉行所の同心木暮信次郎と、以前は小間物問屋の遠野屋清之介(以前はある藩の裏稼業の武士だった)のもつれにもつれた人間関係がメインのあさのあつこの「弥勒シリーズ」第7巻「花を呑む」を読みました。
4巻「東雲の途」では今は江戸で商人として生きる清之介の故郷嵯波藩での過去を清算する旅。6巻では 同心木暮信次郎の父の死の謎を解いたりと、純粋な謎解き捕り物帖というよりは、捕り物帖の体裁を借りた信次郎と清之介の人間模様が読ませどころの本だと思っていたので、今回は東海屋の主人のの謎解きがメインだったので、正直なところ何か物足りなさを感じてしまいました。
何か人間らしい感情が欠落している同心信次郎と、彼の手下の岡っ引き伊佐治、それに武士から商人になって、妻おりんを失ってもがき苦しむ清之介の三者三様の人間模様に、普段は時代劇など読まない私がすっかり魅せられてしまったのですが、今回は7作目になって少々マンネリかな~と思いつつ読み終えました。
ですが、生国嵯波藩の要人として生きる清之介の兄の主馬の病や、伊佐治親分の嫁のおけいが二度の流産をして生きる縁(よすが)を失ってしまう話など、サブストーリーもなかなか面白く、それが最後につながっていくあたりは、ミステリーの常とう手段だとしても、さすがあさのあつことおもわずにはいられませんでした。
さて私的には少々行き詰まり感のある弥勒シリーズですが、次作「雲の果(はたて)」ではどんな展開が待ち受けているのか楽しみです。

