先週は、この映画を観て来ました。私の大好きな作家、柚月裕子の直木賞候補の同名小説が原作です。思っていた以上に素晴らしい出来栄えの映画でした。それもひとえに役所広司の演技に尽きるのは間違いのないところでしょう。この後「羊と鋼の森」「空飛ぶタイヤ」と素晴らしい原作の映画化作品が公開が控えているので、今から楽しみです。
昭和63年、暴対法施行前夜の広島が舞台です。R15指定で、のっけからヤクザ同士の豚小屋のリンチシーンから始まります。豚のう〇こを無理やり食わせたり、指5本をペンチ?で切っていったり・・・、凄惨過ぎてほとんど見れませんでした。でもこの場面が 最後にボディブローのように効いてくるのです。
尾谷組と加古村組の血で血を洗う抗争はどんどんエスカレートしていくばかりですが、そこへヤクザ以上にヤクザらしいマル暴担当の大上(役所広司)が、新米相棒の日岡(松阪桃李)に手荒な捜査を仕込みながら、二つの勢力を叩き潰そうと、ヤクザ顔負けの違法すれすれの捜査を続けて行くのですが・・・。
実は大上には 14年前に人を殺しているのでは?という噂があり・・・。また大上を快く思っていない警察上層部が、日岡を使ってそのあたりを探らせているのですが、これは、オセロゲームと同じで、一つがひっくり返ると、黒の石はすべて白へと逆転するわけで・・・、実は大上ではなく、警察上層部が悪に染まっていたわけで・・・。最後すべての謎が解け、放心状態の日岡・・・が、時すでに遅し。大上は行方不明になってしまうのです。体を張り、命をかけたガミさん(大上)に感服感銘の私でした。
双方の組長の石橋蓮二、伊吹吾郎を初め、江口洋介、ピエール瀧、滝藤賢一、竹ノ内豊、中村獅童、田口トモロヲなどなど、まあ一筋縄ではいかない芸達者ばかりで、見応え十分でした。そうそう忘れてならないのは、クラブのママ役の真木洋子。原作では 小料理屋のおかみだったと思うのですが、大上刑事と浅からぬ因縁があり、なかなかよかったです。
ストーリーも、後半は映画のオリジナルとの事で、薄れかかった私の記憶でも、こんな場面、原作にあったかな?と思いつつ観ていたのですが、原作者の柚月裕子自身が映画を観て「心が火傷した」と言ったとか?私も、多分原作より映画の方のまとめ方が良かったと思いました。確かに映画の方が映像で観る分、インパクトは大きいと思うのですが。小説のほうでは、大上のイメージが浮かばなかったのでなおさらの事。
東映の黄金期の「仁義なき~」シリーズは、残念ながら観た事はありませんが、この映画も単なる刑事映画、ヤクザ映画を超えた奥深い作品でした。きれいごとではマル暴のデカは務まらないわけで、よくも悪くも清濁あわせ持った「大上刑事=役所広司ありき」の「映画 孤狼の血」である事は間違いないでしょう。
別の面からみれば、愚直過ぎる新米刑事日岡の成長物語でもあるわけで、(ネタバレですが) 大上が行方不明になった後に 自分の覚書の捜査日誌に、大上が「愛情あるコメント」」で直しを入れていた場面でウルウルしてしまいました。今年三月には この日岡が主人公の続編「狂犬の眼」が出版されていて、これも図書館に予約済みなので、読むのが今から楽しみです。
追伸:役所広司と松阪桃李、白石監督の三人のトーク番組を観ましたが、広島ロケが多かったようで、出演者同士、合宿のような雰囲気だったし、普段とは真逆の極道のヤクザを演じるのも みんな楽しんでいた・・・と役所広司が語っていました。


