京都市立芸術大学卒業なのに、大阪府警のマル暴担当の刑事が主人公の警察小説を多数書いている黒川博行。奥様は 同級生で日本画家の黒川雅子氏で、彼の本の装丁を描いているようです。

 

黒川氏の作品では、「疫病神シリーズ」が有名で、私も何冊が読み、「破門」でようやく直木賞を受賞されて本当に良かったと思ったものです。本作の「果鋭」は「繚乱」「悪果」に続く伊達、堀内コンビシリーズ三作目との事ですが、私は 初読でした。元大阪府警のマル暴担当の伊達と堀内の相棒が主人公の本作では、全国に一万店以上あると言われるパチンコ業界が描かれています。ホールコンピューターの遠隔操作やら、パチスロ台の出玉細工などの実情に、やはりと思うと共に、これでは素人が勝てるわけがないと納得で、「つぶれたパチンコ屋の話を訊いたことがない」わけがわかります。

 

泣く子の黙る大阪マル暴担当のデカを首になった伊達は、ヒマラヤ総業の調査員をいう仕事の傍ら、元相棒の堀内(前作で瀕死の重傷を負い、今は杖なしでは歩けない)と共に パチンコ業界からシノギを得ようと、裏稼業を再開するというの物語です。「右も左も腐れか狸や! 」と伊達が言うように、魑魅魍魎が跋扈するパチンコ業界の実情には、あんぐりとするばかりです。

 

命を張っての裏方稼業で、伊達も堀内も命を狙われ、刺しつ、刺されつで、傷の手当には、「疫病神」シリーズでもおなじみ、ヤクザ御用達の裏方の外科医内藤医院が登場します。と言うわけで今回も、血がにじむ傷口のガーゼを取り換えながらのシノギ稼業には、そこまでするかとあきれますが、巨漢の伊達はグルメで、食い倒れの街大阪らしく 寿司や焼肉などおいしそうな場面も多々あり、空腹時の深夜の読書には堪えました(笑)最後は無事、パチンコ業界からシノギを得る事に成功した二人。「疫病神シリーズ」より好きかもしれません。