最期の日。
そうなるとは知らずに、この日も、会いに行った。
プリンを作ってあげたので、喜んで食べてくれた。
それ以来、プリンを作ると、この日のことを思い出す。
アリスが亡くなってから、間もない頃、ステファンのおばさん宅に行った。
その時、手作りプリンをデザートに出されて、泣いてしまった。
でも、1年以上経って、プリンを作ると、
「さあ、アリス、一緒に食べよう!」と言えるようになった。
料理教室で、自家製すり身やかまぼこを作ると、卵の黄身が余るのだ。
だから、それを使って、プリンをよく作る。
つい先日も、プリンを作った。
蒸し上がったので、粗熱が取れたら、冷蔵庫に入れようと思った。
粗熱が取れるまで、ちょっと待とう、、、と、居間で、パソコンに向かっていた。
ちょっとだからと、居間の明かりは付けず、台所の明かりだけで、しのいでいた。
そうしたら、一緒にいたクッキーの様子が変。
クゥーン、と甘え声。
部屋の隅をじーっと見つめていた。
もしかして、、、
アリスがいるのかな?
と思って、声をかけてみた。
「アリス〜、そこにいるの?」
「そうよ〜」と、脳内返事が返ってきた。
大好きなクッキーも、ルフィもこの世に置いていって、気がかりだろうなあ、と思う。
お母さんとも、一緒にいてくれてるよね。
お母さんは、あなたが笑顔でいてくれることを、祈るばかりだよ。
キチガイ、と言われてもいい。
ただの妄想に過ぎないよ、と言われても構わない。
アリスの気配を感じるのは、私なのだから。
あ、クッキーも感じたのね。