アリスが、この世から旅立ってしまったのは、内因性鬱病、そして、それは、不治の病だと、担当医から言われた。
外因的要素、トラウマがあって、うつ病にかかったのではなく、生物学的なものだったと。
そうだとしても、本人の希望で、全快へ向けて、治療を受けていたのだ。
一抹の希望を抱えて、、、
けれど、それは、まず、パリのサンタンヌ病院で、打ち砕かれてしまった。
だいたい、「Sainte Anne サンタンヌ」を日本語で書こうとすると、「惨憺 ぬ」と出てくる。
まさに、「惨憺たる」経験をそこでしてしまったアリス。
一緒に、側ににいてあげられなかったことが悔やまれる。
一人っきりで、これ以上ないくらい、ひどい経験をしたアリス。
アリスは、去年の11月、それを告発する文書を書いた。
精神病院で、どんな扱いを受けたか。
パリの大きな精神病院が、どんな状況か。
精神科医や、医療スタッフが、患者に対して、どんな言動をとっているか。
病気回復のために訪れた病院で、アリスの病気は悪化したのだ。
救ってくれるはずの精神病院に、アリスは殺されたのだ。
その文書をエリゼ宮を通じて、マクロン大統領に送った。
そして、1週間ほどで、返事が届いた。
アリスに対する弔辞とともに、保健省に働きかける、と、いう、ポジティブな返答だった。
医療業界、そして、特に精神科が少しでも、いい方向に進むならば、アリスも喜ぶことだろう。
でも私は、「何をしたって、アリスは戻ってこないのだから」と、泣き崩れるのだった。