原作では、とにかく玉音放送の後に悲しくて悔しくて涙が止まらなかった。
勝つために戦ってたんじゃなかったの?じゃあなんであの子は死んだの?
戦地で戦うことだけが戦争じゃ無くて、貧しくても暮らして行く事が戦いだった日常。
それを支えていた全てが崩れ去って、泣いて泣いて、それでも続いて行く命の営み、日々の優しさ、逞しさで救われた。
けどそれでも続いて行く日々の中、床に伏せた妹。
腕に広がる痣。
「治るかねぇ」「治らんとおかしいよ」
笑い合う姉妹と裏腹に、思い出すのは同作者の『夕凪の街、桜の国』。
戦争が終わった平和な広島で、大人になった主人公が恋をしたりお洒落を夢見たり、そして倒れて血を吐いて。
「私が死んだら、原爆を落とした人は『やった!また一人殺せた!』と喜んでくれる?」
そう思いながら、死んでゆく。
戦争が終わっても命の営みは続いてゆくし、生も死も、続いてく。
あの子も、この子も、何のために死んだんだろう。
勝つための犠牲にすらなれなかったあの子。
もう終わった戦争に殺されたこの子。
そんなことを思い返して、結局帰りの車は泣きながら運転していた。
けど、この作品の中に悲愴さは殆ど無くて。
ここまで穏やかに、優しく、朗らかに描かれた『戦時中』は珍しいんじゃないかなぁ。
劇場に笑いの溢れるシーンも多く、柔らかな日々は愛しさに満ちている。
なんのために死んだのか、そう思うとやりきれないけれど。
なんのために生きたのか、そう思うと意味も理由も溢れてくる。
そんな作品だと思うので、あと二回は観に行きたい。
山梨県の上映館
・TOHOシネマズ甲府
長野県の上映館
・長野グランドシネマズ
・松本シネマライツ
・TOHOシネマズ上田
・飯田センゲキシネマズ
・伊那旭座
・佐久Amシネマ
岡谷スカラ座でも、2月に二週間限定上映されるとの噂も。
長く、広く、公開されますように!
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