ゆるしておくれ | 続・阿蘇の国のアリス
ぼくは全力で
きみをとりもどそうとしたけれど、
それは空しい闘いだった。

頭のなかで起きている変化は、
あまりに急速で容赦がなかった。

それでもきみは
素晴らしい勇気を見せた。

恐怖に耐え、
死よりも過酷な最後の敵、
意識障害に勝ったのだ。

ぼくは君の手をしっかりにぎった。

最後にきみの声が
急に震えたのを覚えているかい。

「パパ、苦しいよ、ゲボッ、...

でも、パパのそばにいたいの。

苦しくても、私、がんばるから、
いっしょにいさせて。

ねぇ、これから私、
どうなっちゃうの?

カヌーで溺れた時も、
マムシに噛まれた時も、
あか牛に襲われた時も、
ワナに掛かった時も、

全部助けてくれたよね。

だったら今度も助けて、お願い。

なぜ、パパと
別れなくちゃいけないの?

こんなに愛しているのに、ゲボッ」

胸のなかをえぐられるようだった。

「ぼくだって、
絶対に離したくなかった。

アリス、ごめんね、
守ってあげられなくて。

パパをゆるしておくれ」



皆様の
リブログ・メッセージ
・コメントの言葉だけが
今の救いです。
全部目を通させていただきます。
ありがとうございます。

「アリス、ぼくが読むから、
ちゃんと聞いといてね」