目を閉じたまま
自分に呼びかけてみる。
(ねぇ、私、生きてるの?)
なんだか、いい香り。
暖かくて、春が来たよう。
もしかして、
誕生日を迎えられたの?
いったいここは、どこなの?
...いちご畑?
いちごの国のアリスちゃんか...テヘッ。
「おーい、アリス!生きてる?」
(なんとかね)
「アリスちゃん、
いつでも温まりにおいで♪」
(うん、ありがとう、ナナシ)
県内に強い寒気が
流れ込んだ25日...
私たちは
阿蘇山上を目指していました。
つまり、死にかけた前日です。
「アリス、南郷谷よ」
「夜峯山もきれい」
「烏帽子岳に...」
「噴煙を上げる中岳」
「草千里ヶ浜」
平和でした。
阿蘇の原野に
そっと降り積もる雪のように、
私は居心地のいいやさしさに
包まれていました。
「今度登る、杵島岳」
「大好きな米塚」
「そして最後は、高岳と根子岳」
それでも、雪に覆われ、
白一色になった
景色を眺めていると、
時々、どうしょうもなく
海の青が恋しくなる時もあります。
熊本の海は、
そのままあの人に
繋がっているから...
「アリス、海が見たいんでしょう!」