2回目のてんかん発作 | 続・阿蘇の国のアリス
午前3時...

彼女のビワの葉温湿布が
終わったと同時に、

アリスに2回目の、
てんかん発作が起こりました。

じつは、先生に内緒で
てんかん剤を勝手に
減薬していたのです。

さいわい、
急に発作が起こった時の対処の薬も
聞いて用意していたので、
それを口に放り込み
てんかん発作は治まりました。

アリスの呼吸が少しずつ
落ち着いてきた時、
ぼくはアリスに
グリニーズを差し出しました。

というのも、
グリニーズだけはどんな時でも
噛んでくれていたからです。

いつの間にか、グリニーズは、
ぼくとアリスの
生きる合図になっていました。

「アリス、大丈夫なら、
グリニーズを噛んでみて...
生きたいのなら噛んでみて...」

さっきも、
ぼくは祈るようにそういって
口元に差し出しました。

アリスは鼻をクンクンしながら、
ぼくの手からグリニーズを
ゆっくり噛んでくれました。

「大丈夫、私、まだ生きてみせるよ。
それよりママ、
服を着ないと風邪ひくよ」

そういってるように見えました。

アリスは若くて元気だったころより、
ずっとずっと、
キラキラと輝いて見えました。

アリスの心の声は、
病気になっていっそう、
ぼくの耳に聞こえるように
なっていました。

午前4時、
犬一匹に、大人二人が泣かされています。