命の灯 | 続・阿蘇の国のアリス
そう、阿蘇の雪はいつも
ある日突然やって来ます。


「アリス、ほら、立ってごらん!」

「・・・・・」


「もう、20分もああしているの...
あの二人一緒に死ぬつもりかしら」


「そうなんですね...」


「アリスちゃん、がんばってニャ」


「よし、がんばれ!そう、そう」

「歩けないけど、バナナでた...」


バナナのようなフンをしたら、
旅の始まりです。

「よくできました」

「干し芋と糀のおかげかな」


身も引き締まるような冷気に嗅ぐ、
まじり気のない透きとおった冬の匂い。


心を浄化させてゆくような力を、
この季節はもっているのかもしれません。


「国道は走れそうだね、どこに行く?」


「あそ望かな」




「ぼくたちだけだ」


パパの朝昼ごはんです。


「こんなこと、
阿蘇に引っ越してきて初めてだね」


「北海道や東北の人が聞いたら、
笑っちゃうんだろうけど」


※無料ドッグラン


「アリスには高森町で
馬刺しを買ってあげるね」




「300グラムね」

「はい、はい」


「一食、2268円もするんだから、
元気になりなさい」


マイナス6度の寒気のなかで、
カッカッとさえずりながら、
一羽のジョウビタキが
目の前を飛び去っていきました。


わずか
10センチほどのからだで、
どうやって命の灯を
燃やし続けることが
できるのでしょう。


厳しい季節のなかで、
ひたむきに生きている
この土地の生きものたちの姿が
私は好きです。


12日、午前1時。


ジュジュかあさん、
いつ来てもいいように
ジュジュハウスの
暖房のスイッチを入れておきました。


水道は出ていました。

積雪は20センチ、
長靴がいるかもしれません。


天草出身のお梅の運転で
行ったのですが、
雪道が初めてだったお梅は
ふるえていました。


「ジュジュくん、
週末に遊びにおいでよ、
ゆっくりと春の話でもしようじゃない」


がんばってるワンちゃん