寝たきりのきみ | 続・阿蘇の国のアリス
決してボケなかった...


横になったまま、
やっぱりきみはキラキラと
ぼくを見ていた。


さいわい
食欲はあるのだが、

寝たきりのきみに
たべものを送り込むのは
かなり難しい...。

なにしろ顔中が
口みたいな犬だから。


※雪の夜、
釣りキチ店長とぶたモンと新年会


そして、排泄。

オシッコ、ウンチがとうとう
自力ではできなくなった。


「キアラちゃん、いただきます」


往診は、保険のきかない
動物医療だから、
当然のこと
財布は底抜け状態。

寝たきり犬を中心に回る生活で
目も回る。


それでも、きみの
その目の輝きを見ていると、
なんとか立ち上がらせて、
ヨチヨチでもいいから、
もう一度一緒に散歩したい...

そう願わないではいられません。

何よりきみ自身がそう願っているに
違いないからです。


「アリス、雪、見に行く?」

ほら、呼びかければ懸命に
起き上がろうとするではないか。

どうしてこれを捨ておけようか。


「ルイくん、ごちそうさま」