2017二人歩記 | 続・阿蘇の国のアリス
二人の吐く息が白く混ざっていきました。


ママの手は温かくて...


その温度は
病気への憎しみで
凝り固まった心を
溶かしていくようでした。


「あなたが必死になって、
私を試そうとしているのは、
それと同じだけ
私を愛したいっていうことでしょう。

あなたもきっと苦しいでしょう。

いくら苦しんでもいいよ。

私は、絶対にあなたのことを
諦めないから...」


「いいね、アリス、
いつか私が、
生まれてきてよかったって、
あなたに思わせてあげる」

目尻のしわが優しげでした。


思わずごめんなさい
といいそうになって、
私は心の手綱を引き締めました。


(まだこんなところで
降伏する訳にはいかない)


ママが笑っていいました。


「大丈夫。

そのままで、アリスはいいの。

あなたは本当に、
すごくいい子なんだから」

私はママの熱に感動していました。

「親は子どもが苦しんでいたら、
いっしょに苦しむものよ」

自分がなぜ泣いているのか、
いつ泣いたのかもわかりませんでした。

(...ママ)