「アリス、夜は酵素に入ろうね」
アリス。
ぼくはきみが生きてきた証しを、
十分に残すことができたかな。
今でも真夜中に
数千枚のデジタルカメラの画像を
眺めながら、きみの笑顔を
さがしています。
きみの温もりややわらかさは、
CCDには映らないのだと
くやしくなります。
それでも、
ぼくはあの夏からきみの生命の
記録者になったのです。
自分の身を削りながら輝き、
空を横ぎる流れ星。
きっと照れるだろうが、
間違いなくそんなふうに
きみは見えました。
毎日のように胸を焦がしながら、
ぼくは流星を抱いています。
きみは、光をとぎれることなく灯して、
絶望的な願いをかなえようとしている。
覚えているかい、アリス。
三人で流れ星を追いかけた日のことを。