この世界って... | 続・阿蘇の国のアリス
「眩し~い!」

「台風一過よ」


ビールのようなオシッコをしたら、
旅の始まりです。




ランチに「ボンジュール」さんへ。




「アリスちゃんがきてるニャ~♪」


「ママの...」


「ママの...」


「私の~♪」


「はい、どうぞ♪」


ランチの後は、
ボンジュールさんから
車で1分の場所にある
「恐ヶ淵」へ行きました。


「パパ、よろしくね」


「うん」


「台風で増水してるね」


「うん」


「アリス、着いたよ...」


「神宿る滝に」


「うん」


「よかったね、アリス」

「うん...」


「気持ちいいね。
このまま死んでもかまわないな」

「死ぬなんていったらダメだよ」


「わかってる。
今はパパをおいては死ねないよ。

だって、私がいなくなったら、
どうなるか心配でたまらないもの。

重症の患者にこんなにひどく
依存してるんだから」

私は顔をあげて、ママの目を見ました。


目はガラス球のように澄んで、
世界を曇りなく映しています。

「私とアリスだけが
気づいているんだ。

生きてることは奇跡で、
永遠に続くものじゃない。

みんなだって、
命には終わりがあるって
頭ではわかっている。

でも心と身体の底から、
命の素晴らしさや
限界を感じているのは
ふたりだけ。

ねえ、アリス、
この世界ってきれいだね」


私はママの手をとりました。

「知ってた?ママもとてもきれいだよ」