私は泣き濡れた目を開けました。
「酵素のなかで夢をみていたの...」
「...友達と合う夢。
みんなが私を抱きしめて、
こういったの。
アリスちゃん、生きて」
「そう、よかったね」
「いつか私、
恩返ししなくちゃね。
たとえば天国から、
誰かにパワーを送るとか」
酵素からでると、
私は再び死んだように眠りました。
次に目を覚ますと、
目の前に赤トンボがとまっていました。
「ねぇパパ、ここは天国?」
「ちがうよ」
「アリス...オシッコできた?」
「うん」
「今晩の酵素、準備しとかないと」
「発酵まで7時間かかるから」
「それから今日は、
ジュジュくんファミリーが
広島へ戻る日だから、
会いに行かなくちゃね」
「うん」
「私とジュジュくん、
最後のツーショットだったりして...」
「怒るよ、アリスちゃん」
「かあさん、なんだか淋しそうだ。
充実した10日間だったからね」
「あなたはここに残りなさい」
こうして、
ジュジュくんファミリーの
夏休みは終わりました。
「ジュジュくん、また会おうね♪」
「愛さん、酵素ジュースください♪」
「アリスちゃん、だいじょうぶなの?」
「いいえ、死にそうです」
「だったら...」
「これまでの一年は、
アリスが自力でがんばってきました。
ぼくたちは何もしていません。
これからは、
アリスは何もしなくていいんです。
ぼくがアリスを守りますから。
これからが、本当の勝負なんです」
パパの熱い手が私の髪をなでました。
「ずっとパパといっしょにいる。
これからもずっとね」
私は息がかかるほど
耳の近くでいいました。
ふと足下を見ると、
四つ葉のクローバーが見えました。
その隣にも、またその隣にも
寄り添うようにありました。
私は、友達からのメッセージだと
直感しました。
「みんな、ありがとう!」