親になるということ | 続・阿蘇の国のアリス
朝、
アリスの声にならない声で
ぼくは飛び起きてしまいました。

それはぼくを求める
必死の叫びのように聞こえたのです。

急いで二階から駆け降りると...


アリスは体を起こして
苦しそうにもがいていました。

「たんがつまった...!?」


しかし、
たんを取った後も、
アリスは苦しそうに
何度も起き上がろうとしています。

「トイレかな...」


今度はママと協力して
アリスをトイレに連れ出します。

「よかった...出て」


寝返りさえできないのに、
アリスは自ら歩いて
ビールのようなオシッコをしました。


「ハァ、ハァ、ハァ、Rikoちゃん、
四つ葉のクローバー見つけたよ♪」


アリスの目線をたどると、
そこには確かに
四つ葉のクローバーがありました。


午後は三人でゆっくり過ごしました。


ママはずっとアリスを離せないでいます。


「コッ、コッ。
アリスちゃんしっかりね」

ヤキトリとミズタキが
時々心配そうに
家のなかをのぞきに来ました。


ブジカエルも...


金魚のアカとシロも、
みんなアリスを
応援してくれているようでした。


夜になって
アリスにご飯を食べさせようとしましたが、
アリスは全く食べませんでした。

食べる気力もなくなったのです。

「大好きな鶏の水煮なのに...」

ママの目からはみるみる涙が流れました。

しかし、
ママははっとした顔になると、
近くの動物病院まで
ひとり車を走らせました。

「田舎の動物病院が、
午後9時過ぎに開けてくれるわけがない」

そう思っていたぼくの前に、
ママは病院で買ってきた
特別療法食を差し出しました。

「親になるということは、こういうことか」