桜の樹 | 続・阿蘇の国のアリス
午前1時。
アリスのハァハァが止まらないので、
ぼくはアリスを抱きかかえて、
隣の空き地の、桜の樹の下まで
連れてゆきました。

「アリス、トイレしなさい」


しかし、
アリスはなかなか
トイレをしようとはしません。


その日は、
強い風と雨が降っていて、
二人は濡れながら立っていました。

「アリスごめんね。
風が吹いてるから傘を持てないんだ」

「私のほうこそごめんね、
オシッコに付き添ってもらって...」

アリスがそう言ってるようでした。


やがてアリスは
酔っぱらったように、
桜の樹の下を歩き回って、
トイレをしました。


ずぶ濡れになったアリスの体を
吹き上げているとき、
アリスがそっと、
ぼくの太ももに手を置きました。

「ありがとう、パパ。
一緒に濡れてくれて...」


お昼、ママと二人でだご汁を食べました。


ぼくが風邪をひいたのです。


心配しないでください、
一日で治ります。


それから、
ジュジュくんファミリーと
もなかくんファミリーが
泊まる候補にあげていた
「ペンション武蔵」さんを見に行きました。


しかし、そこに、
建物はありませんでした。




1000坪のドッグランも
走れそうにありません。


桜は一番美しい時期が
最初にやってくる。

桜はつらくないのだろうか。

涙がにじんで、
巨大な桜が目のなかで揺れる。